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海外事業における最大の強みは
DNAを受け継ぐローカル社員の存在 張本邦雄 TOTO株式会社 代表取締役社長執行役員

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受け継がれる海外志向の気風

松下 最後に、今後のグローバル展開について、どのように計画されているのかをお聞かせください。

張本 2009年に発表した長期経営計画「Vプラン2017」では、「真のグローバル企業」をめざすとうたっています。最終的には海外の売り上げは1500億円、全体の売り上げの25%をめざしています。ドル建てなので、円換算では実際にはもう少し額が下がりますが、2010年をベースとすると2017年には海外売り上げが約2.5倍になる目標です。

私が社長になってからベトナム、タイ、中国に工場を増設し、インドやブラジルに新しく会社を設立するなど、ものすごい勢いで増設と設立を展開しているのですが、嬉しいことに、若い技術者が次々と自分から手を挙げて海外に行ってくれるのです。メキシコに会社を設立するというと「そろそろ俺たちの番だ」といった感じで、何人も手を挙げる。昔の商社のような気風なんですよ。

松下 今では商社でも、海外に行きたがらない人が多いと聞きますが、TOTOの社員の方はそうではないのですね。

張本 20代の若い社員が海外に出て行き、工場の立ち上げにかかわって、現場の人と衛生陶器の製造のラインで働くことになると、任される範囲が日本にいるときよりも非常に広いわけです。苦労もするけれど、やりがいがある。だからみんな大きく育って帰ってくる。そして「大変だけど面白いぞ」という彼らの話を聞いて、後輩たちも次々と海外行きを希望する。これが衛生陶器部門で粛々と続いています。

松下 素晴らしい気風ですね。

張本 また「Vプラン2017」では、2017年には海外のシニアプレジデントクラスの半分以上は現地から登用する計画です。統括会社はどうなるかまだわかりませんが、生産会社や販売会社などの各国の社長も、遠くない時期に現地から登用するようになるでしょう。それもよそから上層部を連れてくるのではなく、TOTOの文化を持った人間をつないでいこうと考えています。こうした登用は意志を持って進めていくつもりです。

私はTOTOグローバルの社長ですが、それはTOTOジャパンの社長がTOTOグローバルの社長を兼務している感じです。ただTOTOジャパンが長年培ってきた価値観はTOTOグローバルでも維持していきたい。そのために、たとえばわれわれの企業理念を海外の会社で働く社員たちにも伝えるといったこともやっています。企業理念を進出している各国の現地語に訳し、毎日唱和している国もあります。

また、TOTOグローバルの社長として私は、自分の思いを自分の言葉で伝えること、コミュニケーションすることを心掛けています。今年から海外でTOTOの中期経営計画の説明をしています。もちろん現地の通訳がつくのですが、できるだけ自分の言葉で直接語りかけ、夜にはローカルの社員たちと酒を飲むようにしています。自分の言葉で各国の現場とコミュニケーションし続けていくことが、私の大事な仕事だと思っています。

(10月9日、港区TOTO虎ノ門ビルにてインタビュー)

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