ソーラーフロンティア

「再生」で結ばれた
リーダーの原動力
企業と自治体の異色トップ対談

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CIS薄膜太陽電池を製造するソーラーフロンティアは、最新技術を備えた東北工場での商業生産をこの6月から開始した。同社が東北に進出した背景には、東日本大震災からの復興と再生可能エネルギーの活用推進を目指す宮城県と、新工場設立を契機に世界市場への飛躍を狙う同社の思いが合致したことにあった――。

工場誘致を実現した「トップセールス」

平野 大衡村(宮城県)の東北工場で生産する製品の販売を、今夏からいよいよ開始します。これまで、県や大衡村など行政や関係者の皆さんに大変力強い支援をいただきましてありがとうございました。皆さんの期待に応えるとともに、村井知事が掲げる産業振興策「富県宮城」の実現にも貢献したいと考えています。

村井 こちらこそ感謝しております。私は2005年の知事選で初当選し、現在3期目です。「富県宮城」は私が作った言葉ですが、初当選時から県の産業構造の改善が必要だと考えてきました。

東北最大の都市・仙台を抱える宮城県は、これまで何もしなくても支店ができ、人が増えてきました。支店経済と言われるように、これらの人を対象にした第3次産業が中心でした。しかし、少子高齢化社会になり人が減ると、その構造も成り立ちません。そこで私は、ものづくり産業、すなわち第2次産業を強化するために、企業誘致に力を入れてきました。

ソーラーフロンティア
代表取締役社長
平野 敦彦

平野 当社にも早くから知事自ら熱心にお声がけいただきましたね。新工場の候補地選定にあたっては、他の自治体も含め、いくつか選択肢もありました。その中で宮城県が望ましいと考えたのは、優れたインフラが整備されていることに加え、すでに先進的な企業がいくつも進出され、労働力の生産性が高められていることでした。また、東日本大震災後の地域再生にとどまらず、将来につながる政策を次々と打ち出されていることにも感銘を受けていました。

 

 

宮城県知事
村井 嘉浩

村井 私は知事になって11年目になりますが、その半分の期間、復興に携わってきたことになります。特に、復旧にとどまらない、将来を見越した「創造的復興」が必要だと考え、取り組んできました。本県では、震災から10年間の「宮城県震災復興計画」を策定しています。この中では、再生可能エネルギーを活用したエコタウン(スマートシティ)の形成」を復興のポイントの一つに掲げています。

「生産時間3分の1コスト3割減」
最新鋭工場の実力

平野 自立分散型の再生可能エネルギーの重要性が注目されていますが、宮城県では率先して取り組まれているというわけですね。

今後はさらにCO2削減への要請なども高まるでしょう。国も20年までに、エネルギー消費量を実質ゼロにする省エネ住宅「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」を新築戸建住宅の過半数で実現しようとしています。国内におけるこの市場では、いわゆる大手ハウスメーカーのシェアは約30%で、残りの70%は中小・中堅のホームビルダーなどが担っているというデータもあります。ZEH普及のためには、地元企業の力が欠かせません。当社も宮城県内の企業と一緒に、その推進に取り組んでいきたいと考えています。

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