外国人が押し寄せる「円頓寺商店街」の吸引力 名古屋屈指の老舗喫茶がゲストハウスに
――名古屋に来る旅行者のニーズは?
田尾:名古屋城や大須商店街は人気ですが、一言で言えば「旅人による」のが結論です。買い物目当ての香港人にはドンキホーテを案内しますし、トヨタに興味のある人は工場見学を、刀剣乱舞が好きな子には徳川美術館を案内します。
その他、歴史や宗教を知るためのツアーや大相撲観戦、マンガ講座、甲冑体験なども提供しています。大量送客の旅行ではなく、One to Oneのきめ細やかな旅行を提供したいですね。
旅行者の満足度を高める
――最後に、今後の目標をおしえてください。
田尾:今はノウハウを蓄積するフェーズと考えて、どんなに面倒くさいオーダーでも受けて旅行者の満足度を高める技を磨いています。また、ゲストハウスには連日外国人旅行者が訪れますので、「西アサヒ」が外国人ニーズを研究するラボとも言えます。
そうやって蓄積したノウハウを、将来的には、高度に仕組み化してお客様に提供できるようにしたいと考えています。
「今は誰もやらない面倒くさいことひたすらやるステージ。いずれ、ノウハウが貯まり高度な仕組化を実現するために」
取材後記
取材の後、私も実際に「西アサヒ」に泊まってみました。リビングではスイスからのカップルが日本地図を広げて旅の計画を練り、タイから来た4名の女性グループは和室に布団を敷いてまるで修学旅行みたいな雰囲気。みな思い思いに「西アサヒ」の夜を過ごしていました。外国人に泊まった感想を聞いてみると、「日本のホテルや旅館のように行き届いたサービスはすごいなって思うけど、ちょっとやりすぎって思うこともあるの。普通の日本を普通に体験したいし、できるだけ長く滞在したいからゲストハウスを選ぶわ」とのことでした。田尾さんがプロデュースする「日本の商店街に泊まる」という新しい旅のスタイルは、増えつつある外国人の個人旅行客の価値観にしっかり合っているようです。
2本連続でご紹介してきた、名古屋の訪日インバウンド。クリス・グレンさん、田尾さんをはじめ、名古屋の熱い取り組みがどんどんスピードアップしています。これからも続々と名古屋ならではの観光施策が繰り広げられていくことでしょう。そんな名古屋から今後も目が離せません。
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