(第6回)就職活動スケジュール(年内編)

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・大学内での合同セミナー
・オープンセミナー

 基本的に主に年内に実施されるリアルな採用施策だ。
 これには就職サイトや採用ホームページでは十分に伝えきれない雰囲気や仕事の魅力を社員の生の声で伝えよう、じっくりと伝えたいという意図がある。大学内での合同セミナーなどは、じっくり型の典型で、特定の大学に的を絞って参加しているため、その意図がより強く出る。OBやOGが人事部に協力していることも少なくなく、年内の段階でOB・OG訪問を取り付けることも容易だろう。

 オープンセミナーは採用に直接かかわるイベントではない。有名企業が実施する意図としては、企業としてある側面だけからしか理解されていない事業内容に対する理解促進の意味合いが大きい。例えば日立や東芝などの大手電機メーカーが最も力を入れている事業分野は何か? 家電メーカーのイメージを抱かれたまま採用活動に入りたくない、CMのイメージだけで会社全体を捉えられたくないといった意図を理解したうえで参加してみると、人事部の話が耳に入ってきやすいというものだ。

 また、参加した際に入手できたり、配布されたりする入社案内は丁寧に読み込むことをお薦めする。特に社員が仕事のことを語るページは念入りに読んでおくことだ。読み方のポイントは感情移入。パンフレットに登場する社員はどこの会社もエース級や理系の場合は採用したい専攻出身の社員を投入している。読み進むにつれ、その人のようになりたい、と思えるか、これは重要な要素だ。人事部に無理に頼み込むのは考えものだが、OBやOGに接触できる機会に恵まれたのなら、入社案内に登場していた社員名を具体的に言ってみることもひとつのテクニックだろう。

 次回は、年が明け会社説明会、リクルーター面談、面接と就職活動の本番に進む、「就職活動スケジュール(年明け編)」をお送りしよう。

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これから面接本番に向かう学生の皆さんへ
<ワンポイントアドバイス>


 今回は、アドバイスというよりは独り言を書きたい。
独り言のネタは、昨年、ある学生をインタビューした時の話だ。
 その学生はバリバリの広告代理店志望だったが、業界トップ2社に敗退。筆者がインタビューしたときは、業界3位の会社の最終面接に敗退した直後だった。しかし、就活自体は順調そのもので有名メーカーからの内定を3社、そしてもうひとつ起業家を輩出することで名が知れた某会社の内定を持っていた。
 メーカー3社はどれも業界トップ、広告業界に対する志望動機をメーカーのマーケティングや広告宣伝戦略と巧みに絡めた自己PRが人事部のハートを捉えた成果だった。
 しかし、学生が最終的に入社を決意したのはメーカー3社ではない残りの1社だった。
 しかも3年間、キャリアを積んでからその会社を辞めるという。
理由を聞くと「この会社から広告業界トップ3への転職者が何名かいる」という情報を先輩から取材したからだという。人材市場は絶え間なく動いている、この学生が3年後に市場価値を持っているかどうかはわからないが、学生時代にそんな具体的で強かなキャリアイメージを持っていること自体に驚きを覚えたことを思い出した。

八木政司(やぎ・まさし)
採用プロドットコム株式会社 企画制作部 シニアディレクター
1988年関西学院大経済学部卒。大手就職情報会社で営業、企画部門で主にメーカーの採用戦略をサポート。その後、全国の自治体の地域振興に関る各種施策や計画書の策定業務に携わり、2000年から再び企業の採用支援業務に取り組む。08年4月より現職。
採用プロドットコム株式会社 https://saiyopro.com/
佃 光博 HR総研ライター

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つくだ みつひろ / Mitsuhiro Tsukuda

編集プロダクション ビー・イー・シー代表取締役。HR総研(ProFuture)ライター。早稲田大学文学部卒。新聞社、出版社勤務を経て、1981年文化放送ブレーンに入社。技術系採用メディア「ELAN」創刊、編集長。1984年同社退社。 多くの採用ツール、ホームページ製作を手がけ、とくに理系メディアを得意とする。

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