異色ベンチャーに学生4万人が殺到する理由 型破りのインターンシップで、学生の心わしづかみ

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――まずワークスの概要についてお聞かせください。

96年創業のERPパッケージメーカーだ。ERPとは経営資源を統合管理するシステムだ。96年以前には、国内に日本の大手企業の商習慣や業務に対応できるERPパッケージは存在しなかった。そこで牧野正幸、阿部孝司、石川芳郎の3人が日本発のERPパッケージの開発・販売を目指して創業した。

現在はHR分野では1位、会計などでは2位の国内シェアを持っている。現在の従業員数は、12年6月期で単体2166人、グループを合わせると2709人だ。

未経験者を入社6カ月でプロにする

――就活学生へのアンケート調査では、毎年、ワークスの「問題解決能力発掘インターンシップ」に対する評価がきわめて高いことに驚きます。このような採用手法を導入された経緯を教えてください。

学生向けのインターンシップを実施したのは02年からだが、その背景には既卒者採用のための施策があった。99年に始めた「プロフェッショナル養成特待生制度」というものだ。少し経緯と内容を説明しよう。

ベンチャーを起業するとき、初めは同志を募り、優秀だとわかっている知人を集めることが多いと思う。ところが縁故に頼る採用はいずれ限界に達する。ワークスでも社員数が50人くらいの段階でその限界に直面した。

かといって一般公募をかけても無名のベンチャー企業に多くの応募があるとは思えない。しかし、大手企業で働いている人の中にも「今の会社にいて今後のキャリアは大丈夫だろうか」という不安を持つ優秀人材がいるはず。

そこで彼らにアプローチするために開始したのが「プロフェッショナル養成特待生制度」だ。キャッチコピーは「勉強ができた人を、仕事ができる人に育てます」。内容は、IT業界未経験者も対象とし、入社後6カ月間の研修後にはIT業界の素養が身に付くだけでなく、トップクラスのコンサルタント・エンジニアに育てるプログラムというもの。

この施策は大成功し、約350人応募者から特に優秀だった10人を採用した。この「プロフェッショナル養成特待生制度」は当初、半年ごとに採用を繰り返していたが、人材レベルは圧倒的に高かった。

この「プロフェッショナル養成特待生制度」の参加者から「こういうことを大学在学中に学ぶ機会が欲しかった」という声が多数寄せられた。そこで学生向けインターンシップとして02年に開始したのが「問題解決能力発掘インターンシップ」だ。

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