復興財源もついに枯渇 国債増発の綱渡り 安倍政権に試練が訪れる

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一方、現段階での補正予算の財源候補を整理すると、確定しているのは11年度剰余金1・9兆円と予備費の残り0・3兆円の計2・2兆円。仮に、これに前年度並みの国債利払い費の使い残し0・6兆円、税収上振れ0・8兆円が発生すると4兆円弱になる。補正予算の規模を10兆円とすれば、6兆円の建設国債発行が不可避だ。これは即、中期財政フレームの頓挫を意味する。問題はそれを世論や海外にどう説明するかだ。

カギを握りそうなのが復興特会である。そもそも当初5年間の19兆円という復興財源は、阪神淡路大震災後の復興費用との比較で出てきた粗い数字。19兆円枠の適時見直しは復興基本法でもうたわれており、来年度の実施は避けて通れない。

その際、来年度の復興財源不足は結局、一般会計からの繰り入れで賄わざるをえないため、一般会計でも今後は国債44兆円枠の維持は困難になる。つまり補正予算とは関係なく、中期財政フレームの見直しは避けられないのだ。

であれば、「復興優先のために中期財政フレームを見直す」という説明が今後、安倍総裁の口から出てくる可能性がある。補正予算の建設国債をひっくるめた国債増発が、「復興優先」という言葉により正当化されるという構図である。

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