R25からLINEまで。日本最強のメディア野郎 新世代リーダー 田端信太郎 NHN Japan 執行役員

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NHN Japanで重責を担う傍ら、田端は会社の枠を越え、アクティブに活動している。週平均3、4回の講演をこなす田端が、とくに力を入れているテーマの一つは、紙メディアの良い部分をネットメディアに引き継ぎ、「ネットメディアの地位を上げる」ことだ。

「ネットメディアの編集者には、もっと気構え、矜持、モラル、プライドをもってほしい。自らの影響力を自覚せず『俺らが楽しければいいよね』という考えでメディアを作っていては、読者からのリスペクトは得られないし、媒体としてのブランド価値は上がらない。紙メディアのすべてを肯定するわけではないですが、ネットメディアが学ぶべきところはたくさんあります」

田端は「紙」と「ネット」を対立構造では考えていない。むしろ、双方の世界を翻訳してつなぐことに、世代としての使命感を感じている。

「僕らは過渡期の世代。紙とネットが両方わかる両生類だと思っているんですよ。僕より上の世代は、紙メディアでの成功体験が強いので、ネットに抵抗感がある人が多い。一方、下の世代は最初からネットがあるので、紙メディアの良さをあまり知らない。でも、『紙は時代遅れ』というのも『ネットはダメ』というのも、どちらも後ろ向きじゃないですか。紙とネットそれぞれの、いいところを見つけ出して、折り合いをつけていく。それが僕の役回りなのかな、と最近思ったりします」

広告と編集のカベ、日本と世界のカベ、ネットと紙のカベ、そして、世代と価値観のカベ――人がひるむカベをぴょんぴょん飛び越えていく田端の姿は、新世代メディア人のあり方を体現している。

「宇宙人から見たら、地球上にある国境なんてどうでもいい。新聞、雑誌、ネットの区別もなくなっていく」

激変の時代を迎える、メディア業界。その未来をいち早く知りたい人間は、この"日本最強のメディア野郎"から目を離さない方がいいだろう。

=敬称略= (撮影:今井康一)

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