なぜ中国で、日本ブランドは売れないのか? 品質で勝ち、ブランドで負ける日本勢

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そんな中国市場の競争をさらに加熱させているのが、消費者から圧倒的な支持を集める中国ブランドの存在です。それをデータで実証したのが、今年8月に北京で実施された「中国品牌領袖峰会」(英文呼称は「China Brand Leader Summit」)での報告でした。

私もゲストスピーカーとして参加したこのシンポジウムは、工業情報化部の指導の下、下部組織の「中国企業品牌研究中心」や国家統計局などが共同開催した国家の公式イベントでした。

中国企業品牌研究中心では中国企業のブランド構築をサポートするために、独自に「C-BPI(China Brand Power Index)」というブランド力算出法を定めてブランドの育成方法に関する調査・研究を進めています。今回、その調査結果を受けて業種別のトップブランドが表彰を受けました。

日本勢で首位は、デジカメとカムコーダーだけ

発表された合計152業種に関する中国市場ナンバーワン・ブランドのリストはとても興味深いものです。

内訳を見ると、68%の業種で中国ブランドがトップに輝いており、海外ブランドにトップの座を譲った業種は32%にすぎません。スターバックス、ミシュラン、コカ・コーラ、コルゲート、フィリップスなどグローバルブランドの精鋭たちがカテゴリー第1位を獲得している一方で、迎撃する中国ブランドの強さが実証された形となっています。

宝飾店チェーンの「周大幅」、インスタントヌードルの「康师傅」、果汁飲料の「汇源」、牛乳・ヨーグルトの「蒙牛」「伊利」、白モノ家電の「美的」、家電品量販店の「国美」などなど、グローバルブランドが束になってかかってもびくともしない定番ブランドが各商品カテゴリーに君臨しているのです。

ちなみに、日本ブランドがトップを獲得したのはわずかに2カテゴリー(デジカメカテゴリーのキヤノンとカムコーダカテゴリーのソニー)です。一方、サムスン電子は一社で携帯電話、液晶モニター、テレビの3部門のトップを確保しました。そもそもサムスンはこのシンポジウムの単独協賛企業となっており、このこと自体彼らのブランド重視の姿勢を如実に物語っています。

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