iPhoneの進化、立ち止まってはいなかった アップルが披露した「OS戦略」の全貌

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「WWDC16」では4つのOSの新機能が発表された(筆者撮影)
アップルは米国時間6月13日に、カリフォルニア州サンフランシスコのビルグラハムシビックオーディトリウムにおいて、開発者向け年次イベント「WWDC2016」を開催した。ハードウエアの発表はなかったものの、iPhone/iPad、Apple Watch、Apple TV、Macの新OSが披露された。その全容を現地からリポートする。

 

イベントの冒頭、挨拶に立ったティム・クックCEOは、前日にフロリダ州オーランドのLGBTコミュニティで発生した50人以上が犠牲となった銃撃事件の犠牲者への黙祷を捧げた。クック氏率いるアップルや、他のテクノロジー企業は、多様性への取り組みを強化してきた。またサンフランシスコは、活発なLGBTコミュニティがあり、今回の事件は重く受け止められている。クック氏が、涙をにじませる場面も見られた。

インドにもサポート拠点を開設

アップルは、開発者コミュニティについて、「多様性」と「新人発掘」に注力している。アップルのOS上で動くアプリケーションを開発するエンジニアは世界で約1300万人おり、今回も5000人以上がWWDCに参加した。そのうち72%が初参加で、74カ国の人々が会場に集まった。

開発者コミュニティ自体も多様性が高まっている。新たにインドにアプリ開発サポート拠点を開設するなど、「これからiPhoneが売れる市場」に対して、開発者コミュニティを強化しながら、ユーザーを増やしていきたい考えだ。

加えて、若い開発者の育成にも力を入れる姿勢を示した。WWDCには、350人の学生を無償で招待しており、そのうち120人は18歳以下の参加者だ。また、iPadでSwift(スウィフト、iOS/OS Xのためのプログラミング言語)を学ぶことができる「Swift Playgrounds」アプリをリリースし、プログラミング教育分野に進出した。

すばらしいアプリを開発するデベロッパーを増やし、その国、その世代でのアップルユーザーを増やす、そんな戦略を再確認することができる基調講演となった。

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