「アベノミクス」を評価する8つのポイント 山崎元が読む安倍新政権の実力

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(2) 日銀総裁、副総裁人事はどうなるか?

財務省出身の総裁+緩和派副総裁+日銀プロパー副総裁、くらいなら少しがっかりが入ってマイナス1点。上記で、総裁が金融緩和に積極的な学者ないし民間人なら総合的にプラス1点。正副総裁に財務省、日銀出身がいなくなり全て緩和派の人選ならプラス2点。

自・公が合計でも少数の参議院が絡む国会同意人事なので、読みが難しい。民主党が反対しなければアッサリ政府案の人選が通るが、予断を許さない。みんなの党あたりの意向が重要になるが、同党は、今のところ財務省出身者の総裁就任には消極的のようだ。

筆者は、一サラリーマンとして、武藤敏郎氏、あるいは黒田東彦氏といった財務省OBの総裁を予想する(評価はマイナス1点になる)。現実とは、そのようなものではないか。

(3) 日銀法改正はあるか?

安倍新政権が日銀法改正法案を先送りしたら予想通りであり0点。日銀法改正法案を国会に提出したらプラス1点、成立したらプラス2点。

日銀法が改正されて政府が日銀に政策目標を与える仕組みが出来れば、将来政権が変わっても、日銀だけの判断で引き締めに転じる可能性が低下する。本来、そうした形が望ましいのだが、日銀は嫌うだろう。

日銀は財務省に総裁ポストを渡す代わりに、日銀法改正は許してもらい、政権は法改正に「前向き」な姿勢を見せつつも「識者の検討」に先送り、というくらいが現実的ではないか。安倍政権も、参院選前に無理はしたくないだろう(本当は、ここで強硬姿勢を取る方が参院選には有利に働くだろうが…)。

(4) 日銀はリスク資産を積極的に買い入れるか?

どのみち今後も買い入れ額を増やすだろうが、株式(ETF)、REIT(不動産投信)などの買い入れ増額を10兆円単位で発表するなら0点、5兆円単位でケチケチ発表するならマイナス1点、20兆円単位ないし「青天井」を宣言するならプラス2~3点だ。

株式・REITの大量買いは市場を歪めるので、政策としては賛成しにくいが、いま株を持っている株式投資家からすると、もちろんプラス材料だ。追い込まれた日銀は何かやるかもしれないので、ポジティブ・サプライズの可能性を要ウォッチ。

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