トヨタの「在宅勤務」拡充が大騒ぎされる理由

日本企業でなぜ普及が進まないのか

通勤なしで仕事ができれば効率的なケースも少なくはありません(写真:Graphs / PIXTA)

トヨタ自動車が在宅勤務の大幅な拡充を検討していることが明らかになった。6月上旬に日本経済新聞をはじめとする主要メディアが報じ、ネットニュースでも話題になった。

トヨタの在宅勤務は従来、一部社員に限定されていたが今回の拡充によって一般企業でいうところの事務系の総合職に当たり、一定の資格以上を持つ約1.3万人の社員まで対象を広げる。早ければ8月にも新制度を導入したい方向で、すでに会社側から労働組合に提案している。「育児・介護への対応だけでなく生産性向上も目的」(トヨタ広報部)という。

日本ではまだ珍しい取り組みと考えられている?

在宅勤務制度はパナソニック、リクルート、日産自動車などの大手を軸に日本企業で近年、導入が進んでいる。労働者側にとっては、仕事と育児や介護との両立に加えて、通勤時間がなくなることで自由度が増し、肉体的にも精神的にも負担が軽減されるなどのメリットがある。企業側も育児や介護を理由に優秀な人材が離職してしまうのを防ぐとともに、災害時の対応に強くなるなどの利点もある。

政府も週1日以上終日在宅で就業する在宅勤務者(雇用型在宅テレワーカー)の全労働者数に占める割合を2020年に10%以上にするなどの目標を定めるとともに、インターネットをはじめとする情報通信技術(ICT)の進展も含めて、普及を後押ししている。

しかしながら、大企業はともかく、中小企業を含めて在宅勤務が日本全国に広がりつつあるという兆候はまだまだ見られない。国土交通省の『テレワーク人口実態調査』によれば、2014年に週1日以上終日在宅で就業する在宅勤務者は約220万人と普及率は3.9%に過ぎず、実は前年の約260万人、4.5%から低下している。トヨタが在宅勤務を拡充するというニュースが「大騒ぎ」されるのも、日本においてはまだまだ珍しく先進的な取り組みと考えられているからだろう。

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