“体育会系”居酒屋では勝ち残れない 「塚田農場」APカンパニー社長に聞く

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どんなことも最初は演じることからスタートする。演じているうちにだんだん本気になってくる。僕はもともと俳優を目指していたからよくわかる。

日南市の地鶏生産で、「あった!社会性」

一番のきっかけになったのは宮崎県日南市での地鶏生産。人口3万人の小さな町で、最初はゼロから始まった。地鶏の生産者と日南市の行政、僕ら販売が混ざることで規模が大きくなった。

今では13の農家と契約しており、200人の雇用を生んでいる。たまに日南市に行くと、市長が会いに来て胴上げしてくれようとする。こんな僕でも、地方の活性化に貢献することができるんだ、というのが「社会性」につながってくる部分。不動産業ではなかなか見つけられなかったけれど、飲食業では「あった!社会性」と答えを見つけることができた。

まだまだ全国にたくさん埋もれている商材、困っている生産者や地方自治体がある。いろんなところと手を組むことで第1次産業の活性化につなげたい。

――米山社長の著書『ありきたりじゃない 新・外食』には、「どういうビジョンを達成するか」よりも「誰となら達成できるか」を考えると書かれている。具体的には。

僕は東京・八王子出身で、地元の同級生とAPカンパニーを立ち上げた。創業した2000年代前半は創業メンバーと一緒に年商20億円を目指した。最初は年商20億円なんて夢のようだったが、居酒屋を10店舗、20店舗と増やし、夢は3~4年ですぐかなった。

そのあと、僕が第1次産業や地方の活性化など「食産業を変える」というミッションを持ったとき、実現した夢なんて小さな話に見えてきた。20億円までは彼らと一緒でよかったが、100億円、1000億円やって、食産業を変える、となれば無理だった。

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