野村インサイダー事件 強まる当局の監視姿勢

野村インサイダー事件 強まる当局の監視姿勢

野村証券の中国人社員(解雇)が4月22日、インサイダー取引容疑で東京地検特捜部に逮捕された。M&A(企業の合併・買収)の実務で得た内部情報を基に、知人2人と当該企業株を売買。不正な利益を得た疑いだ。

「お客さまの信頼を失う行為で慚愧(ざんき)に堪えない」。22日に会見した渡部賢一社長は、苦渋の表情で陳謝した。証券最大手かつM&A分野で日本の先頭を走る野村を舞台にした事件は、同社に大きな痛手を与えるだけでなく、証券市場の信頼をも揺るがした。

NHK記者、新日本監査法人の元所属会計士、宝印刷社員、そして野村社員--。今年に入り、相次いで証券取引等監視委員会によって摘発されたインサイダー取引事件は、一本の線でつながる。関与したのは、いずれも上場企業の未公表の重要事実に日常的に接する職業人だ。海外も含む一般投資家には「日本株市場はインサイダー取引が横行している」と不信が募る。

一方、当局がこうした事件を短期間で立て続けに立件できたのは、「米国の証券取引委員会(SEC)に見劣りする」(大手証券幹部)と言われる証券監視委の調査能力が、人員増強やITの活用、内部告発制度の浸透などで向上している証しでもあろう。

「おかしな取引は見る人が見れば気づく」。証券監視委の幹部は打ち明ける。一般投資家に比べて有利な立場や身分を悪用して、自己の利益を得る。こうした証券市場を汚す卑劣な行為に対する監視の目は、強まっている。
(武政秀明 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済)

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