上値メドは1万1000円から1万2000円 どうなる2013年の日経平均

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リスク要因として目先考えられるのは、円高への巻き戻しだ。ミセス・ワタナベと称される個人投資家は、現在、将来の円安を見込んで大量の円売り・ドル買いポジションを取っている。

しかし、何かのショックでポジション解消を迫られれば、一時的にせよ急激な円高が進む可能性もある。また年末に迫った米国の「財政の崖」の問題だが、仮に与野党合意に至ったとしても一部の人にとっては増税となるわけであり、経済成長を抑えることになる。

米国の与野党協議の決裂で大増税となるのは最悪のシナリオで、実際その可能性は低いと見ているが、合意すればOKというわけでもない。合意後の株安という展開も想定しておくべきだろう。

長期的なリスクシナリオとしては、日本国債の暴落による長期金利の上昇だ。今のところ安倍・自民党総裁の「リフレ・上げ潮政策」を株式市場は評価しているが、その裏側で日本の政府債務残高が一段と膨らんでいる。

かつて、日本国債のカラ売りは、海外投資家が何度も仕掛けては失敗してきたものの、日本国債が下落するリスクは以前より高くなっている。ただ、そうなる前には円安・株高になっているわけであり、まずは投資機会を逃さないようにしたい。


 

藤尾 明彦 東洋経済 記者

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ふじお あきひこ / Akihiko Fujio

『週刊東洋経済』、『会社四季報オンライン』、『会社四季報』等の編集を経て、現在『東洋経済オンライン』編集部。健康オタクでランニングが趣味。心身統一合気道初段。

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