「IT中毒」が創造力を奪う ITのプロが警告する、日本企業の新たな病(上)

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やまもと・たかあき
1965年生まれ。広島県出身。88年広島修道大学卒業、アシスト入社。大型汎用コンピュータ向けソフトウエア販売担当。93年インテルジャパン入社。国内家庭用パソコンの戦略立案などを担当。96年ドリーム・アーツ設立、現在に至る。

こうした大量のメールの整理に、決して少なくはない勤務時間を割いている人は多いでしょう。たとえば、従業員がメールの整理に要している時間を計って時給に換算したら、経営者はのけぞりますよ。

メールで会議の日程や出席者を調整しようとすると、かえって時間がかかることがあります。場合によって、「なぜ、自分が会議に参加する必要があるのか?」というメールが来て、それに返答して手間取るようなケースもあります。たとえ皮肉を言われたとしても、直接話せばすぐ片付くし、会議のスタート時点での質を高められる会話すらできるのに。

メールは限界に来ています。結局、みんなが安直な便利さを求めて、本質的に大事なことを失っているワケです。

中間管理職に新しい仕事が積み重なる

――大事なこととは何でしょうか。

時間が奪われている。典型的な例は中間管理職ですね。何の仕事も間引かれず、いろんな調査とか内部統制に関することや経費・交通費の決裁処理など、ITによってやたらと新しい仕事が積み重なっています。非常に保守的な管理主義がはびこり、しかもそれがITによって助長され、いろんな付帯業務が増加しています。

たとえば営業課長は営業を主導するのが本当の仕事ですが、管理や庶務といった内向きな業務が、すごく増えている。本業で部下を指導し、お客さんと面談してという時間が少なくなってしまっている。

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