ガンダム、40年のヒットは努力の結晶だった バンナムHD田口三昭社長が秘訣を語る

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──同じキャラクターを用いて玩具からゲーム、イベントまで幅広いカテゴリーを手掛けている。世界観を統一するのが難しいのでは?

キャラクターを扱っていると、何となく作品の性格がわかるようになる。たとえば「ONE PIECE」や「NARUTO」は、玩具よりもゲームの方がよく売れる。ゲームのこの部分にツボがあり、うまく触ればユーザーに響くとわかってくる。

ちょっと高飛車な言い方だが、当社にライセンスやキャラクターを預けていただけると、その子の長所も短所もつぶさに分かるし、短所の伸ばし方を提案できる。海外展開まで意識した育成プランをライセンサーと一緒に考えられるというのが、最近の当社の特徴になっている。

長年、ガンダムの人気を支えてきたガンプラ。田口社長は定番作品ほど、工夫を凝らせばユーザーは再び戻ってくると語る。
©創通・サンライズ

──2015年度は「妖怪ウォッチ」ブームの反動もあり、減収減益となった。浮き沈みの激しい業態を経営する難しさとは。

こんなことを言ったら株主に怒られるかもしれないが、ビジネスの価値はお客様が決めるからコントロールが難しい。大ブレーク自体は好ましいことだが、ブームには必ず沈静化する時期が来る。

妖怪ウォッチは、今また盛り上がっているから安定化という表現がふさわしい。実は妖怪ウォッチがヒットしたことで、スーパー戦隊や仮面ライダー、プリキュアとカニバリが起きてしまっていた。

妖怪ウォッチは近年まれに見る超ヒット

これはいいことだと思っている。キャラクターの担当者は差別化の要素を必死で考えるようになる。そこにイノベーションが起きると、一段と面白くなる。だから「これ(ほかの作品のヒットなど)がなかったら、うちの子はもっと元気だった」という言い訳は健全じゃない。お客様である子ども達にとって、おカネを使う優先順位が高かったのが妖怪ウォッチだった。この事実を甘んじて受け止める必要がある。

それでも、他のキャラクターの開発をがんばってイノベーションが起きれば、自然と手を伸ばしてくれるようになる。定番キャラクターほどファンの地盤があり、既存ユーザーは良さがわかっているから戻ってくる。2月からは仮面ライダーの人気が復活している。

株主からは業績の波を「うまくコントロールしろ」と言われてしまうが、営業利益500億円をボトムラインに高い水準を維持することが目標だ。簡単にポスト妖怪ウォッチみたいなものは出てこない。

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