ベンツ「新型Eクラス」にワゴンは必要なのか SUV全盛の今に果たす役割と位置づけを探る

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昨今話題のコネクティビティでも、先進的なシステムを搭載している。「メルセデス Me」と呼ばれるプログラムで、テキストメッセージの表示、オススメルートの設定、チケット予約といったオンラインでのコンシェルジュサービスだ。

開発を担当したチーフエンジニアのミハエル・ケルツ氏に「SUV成長著しいいま、あえてステーションワゴンを発表する意味はあるのか?」という疑問を投げかけてみたところ、こう答えてくれた。

確実に待っていてくださるお客がいる市場だ

「SUV市場は、世界中で成長しています。今年だけでも約50%の成長を果たしています。一方で、ヨーロッパではEクラスの3台に1台、本国ドイツではEクラスの顧客の半数以上がエステートを選んでいる、という事実があります。SUVのような急成長を果たすわけではありませんが、確実に待っていてくださるお客がいる安定した市場なのです。

新型Eクラス・エステートは、セダンに準じる快適性とビジネスサルーンとしての運動性能や燃費性能を保ったうえで、SUVほどアウトドア志向ではないけれど、家族を大切にしていたり、スキーなどの趣味のために荷室が必要だったりする人に向けて、スポーティネスと快適性を共に両立したステーションワゴンを開発しました」

ケルツ氏自身、休日はスキーに出かけることもあって、後席の40:20:40の分割シートにスキートンネルを設置して、利便性を高めている。そうした遠出の際に快適な運転をサポートすることも重視している。Eクラスのセダンでも採用された「ドライブ・パイロット」は、210km/hの高速域まで対応する。自動ブレーキの「アクティブ・ブレーキ・アシスト」、ドライバーが車外から操作して駐車場から出し入れできる「リモート・パーキング・パイロット」など、高度ドライバー支援装置が満載だ。

Eクラス・エステートのライバルはアウディ「A6アバント」、BMW「5シリーズ・ツーリング」。ドイツ本国での価格は未発表だが、デリバリーは、今年秋からとなる予定だ。日本への導入は来年になる可能性が高い。日本へは、現行モデルの中ではヨーロッパで人気が高い「E220d」に加えて、3リッターV6ユニットを積んだ「E350」とAMG「E43」あたりが導入されることに期待したい。

川端 由美 モータージャーナリスト
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