自民圧勝で急騰の土木系中堅、増資で小ワザ 狙いは道路橋新製品PR?

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直接通行する自動車の車輪が接し、最も消耗が激しい道路の床板は、一定の規格で工場生産されたものを現場で組み立てるプレキャスト床板を使うのが一般的。そこで、超高引張強度コンクリート製のプレキャスト床板を、老朽化した道路橋の補修用として積極的に売り込もうとしている。今回の株主割り当てで調達した資金は、この新製品の実用化開発に投じられることになっている。

11月下旬に開催された決算説明会の場で、森元社長は株価で株主に報いられないことへのジレンマを口にしている。高い技術力を持ちながら、どうアピールをすれば市場が会社の実力に気づき、それが株価にも反映するのかをいまだにつかみきれない、というのだ。変わった資金調達をやればそこへ注目が集まり、コトのついでに新製品のアピールも可能ではないかと考えたフシもある。

株主は「新株申し込み」の見逃しに注意

エスイーの株価は今回の株主割当増資を発表した10月22日の翌日と翌々日の2日間で2割上昇した。

ただ、今回の株主割当増資を取り上げたメディアは1つもなく、22日には業績予想の大幅な上方修正と、実質増配となる配当修正も発表しているので、市場が反応した材料は、業績上方修正と増配だった可能性が高い。笹子トンネルの予期せぬ事故と、総選挙での自民党圧勝は同社の株価をさらに引き上げた。

12月25日から受け付けが始まる新株の申し込みは、来年1月18日に締め切られる。同社の株主は保有割合で見ても63.3%が個人と、全上場会社を見渡しても個人の保有割合が極めて高い。慌てて会社からの封書を探して開く株主も多いはずだ。
 

永谷 薫 東洋経済 記者

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ながや かおる / Kaoru Nagaya

繊維、化学、小売りなどの業界を幅広く担当。

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