ドル円が落ち着けば1万7000円台の値固めも 日本株は大きく振れる素地が整いつつある

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弱含んだ円相場が支援材料となり、7日の日経平均は反発した

米雇用者数の伸びに急ブレーキが掛かった。米利上げ観測が遠のき、為替市場では1ドル106円台まで円高方向に振れた。ただ、日本株は意外にも底堅く、為替変動に対する円高抵抗力も見えつつある。米景気の先行きに新たな疑問が示された~イエレン米FRB議長は5月雇用統計の下振れについてこう言及した。5月の失業率は4.7%と、転職が多い米国では完全雇用の水準に迫る。ボリュームゾーンとなる小売業やサービス業での雇用者数を押し上げにくくなっている。

さらに同議長は、6月14~15日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ見送りを示唆、今後の利上げピッチに関しても「より緩やかに進める」と表明した。一方、米株式市場では緩和的な金融政策が当面続くとの見方から、米S&P500が年初来高値を更新している。

23日に英国では欧州連合(EU)離脱を問う国民投票が控えている。欧州にとどまらず世界経済にも重大な影響を与え、市場のムードが大きく変わることも考えられる。投資家がリスク回避に傾けば、さらに円買いの動きが強まりそうだ。今後は7月初旬に発表される米6月雇用統計が注目されよう。仮に米雇用に改善がみられた場合、追加利上げへの地ならしも進み、再びドル高に圧力がかかる流れもありそうだ。7月26~27日には米FOMCが開催される。

足元のドル円はダブルボトムを形成中

2015年のドル円のチャートをみると、3月の122円台(左肩)、6月の125円台(頭)、11月の123円台(右肩)と、三尊型天井(ヘッド&ショルダーズ・トップ)が浮かんでくる。8月の116円台はネックライン(円高への反転ポイント)と言われ、重要なサポートラインとして意識されていた。

しかし、2016年に入ると米利上げ観測が大きく後退、円高・ドル安が加速した。あっさりとネックライン116円台を下回り、三尊型天井が完成した。この場合、125円台(頭)から116円台(ネックライン)の振れ幅9~10円程度が円高方向へ反転するとされている。つまり、円高一服の目安として106円前後が挙げられる。

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