警察は本当に捜査怠慢で動いてくれないのか 元警官が明かす「犯罪から安全に身を守る法」

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そのような殺人的な忙しさとプレッシャーにさいなまれ、現場の警察官にはうつ病などの心の病に陥る者が少なくありません。最悪の場合には、自ら命を絶ってしまう例もあるのです。最近取りざたされる警察官の不祥事も、心を病んで半ば自暴自棄になった結果であるケースは多いことでしょう。とりわけ、警察官は仕事に熱心でまじめな人ほど疲労困憊しており、悩み苦しんでいる傾向が見られます。

警察を味方につける方法

【警察を味方につけるには、相談する「目的」と「時間」が重要】

警察の対応が悪くなってしまうことの背景には、警察内部の「非常識」な実情があるわけですが、実はそれ以上に「相談する側」に誤解や勘違いのある場合も少なくありません。警察を味方につけ、「動いて」もらうためにはコツがいるのです。まず、相談する側が意識すべきポイントは大きく2つあります。相談する「目的」と「時間」です。

まず「目的」については、警察にどんな動きをしてほしいのか明確にしたうえで相談に行くことが重要です。「○○に暴力をふるわれた。被害を受けたので、●●を逮捕してほしい」「いなくなった息子を探してほしい。最後に話したときに自殺をほのめかしており、なんとしても止めたい」といったように、なるべく具体的に相談をすることで、話を聞く警察としても次のアクションが明確になります。

また時間については、普通に仕事をしている人が土日や夜間の相談を選びがちなところに落とし穴があります。もちろん警察は24時間365日活動をしていますが、現実には「いつ行ってもコンビニのようにまったく同じ対応」というわけにはいきません。警察は平日の17時以降と休日・祭日はすべて当直体制となっており、そのとき従事する警察官は平日昼間の1~2割程度です。そのうえ、特に夜間は昼間と比べものにならないほど事件が多くなり、110番通報を含めた警察署の電話は鳴りっぱなしといっても過言ではありません。

そのため、夜間や休日に相談に行っても満足な形で応えるのが難しい状況に置かれている可能性もあるのです。したがって、緊急性の非常に高い相談を除いては、事前に電話で予約をしてから平日の昼間に訪れるのがベストでしょう。

また、気をつけたほうがいいのは、犯罪被害にあったときの届出です。警察に捜査を求めるために出す書類としては、「告訴状」と「被害届」の2種類があります。弁護士にどちらがよいか相談した場合は告訴状を勧めてくることが多いようですが、これは告訴状の作成によって弁護士報酬が得られるから。警察に動いてもらいたいのであれば被害届で十分です。

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