粘る74歳、サンダース「熱狂的選挙」の舞台裏 ロスで12時間密着取材して分かったこと

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LAコロシアムで壇上に上がるサンダース一家

コンサート会場に着くと、すでに1万3000人以上の観衆がサンダースを待っていた。「Bernie or Bust」(バーニーにしか投票しない)というバーニー信者たちも多い。

4人の子供がいて、7人の孫がいる74歳が舞台に登場すると、地響きのような歓声が飛んだ。公立大学学費の無償化、マリファナ合法化、全米の最低時給賃金を15ドルに、ウオール街にもっと税金を課す、など次々に聞き慣れた“バーニー語録”が飛び出す。

スタッフによれば、サンダースは自分で自分のスピーチを書くことが多く、ノートに書いた箇条書きを見ながら、即興で話すことも多いという。演説を聞いていたLA在住のマイケル・ブーマーは「ヒラリーを熱狂的に支持する妹以外、我が家では全員がバーニー支持。妹をバーニー支持者にすることはできなかったけど」と言う。

驚愕のエネルギー

闇の中で、サンダースの頭上の聖火台に火が灯った。音楽が流れ、それに合わせて身体を揺するサンダース。74歳の身体のどこに、これだけのエネルギーがあるのか、ただただ驚愕するばかりだ。

LA警察の護衛に囲まれたサンダースの車が、ライトアップされたダウンタウンの街を行く。夕食を取るために、サンダースが寄ったのは「スパニッシュ」という看板がかかる料理屋だった。「トランプよ、これを見ろ!」運転手氏はそう言って、店の写真をスマホで撮影した。

午後10時過ぎ、やっとミニバンがダウンタウンのホテルに到着した。翌日、朝起きると、身体がガチガチに疲れていた。こんな過酷な日々を毎日数カ月も続けてきたのか、サンダース。あと1日、残りはサンフランシスコでの選挙運動を行う。

果たしてカリフォルニアの大票田を制するのはヒラリーなのか、バーニーなのか。7日が運命の日となる。

(敬称略、写真はすべて筆者撮影)

長野 美穂 ジャーナリスト

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ながの みほ / Miho Nagano

米インベスターズ・ビジネス・デイリー紙記者として5年間勤務し、自動車、バイオテクノロジー、製薬業界などを担当した後に独立。ミシガン州の地元新聞社に勤務した経験もある。

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