地方創生に欠けている「チーム感」の作り方 意外と話し合わない地域の人たち

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永井:ただ、地方創生を少人数でやっていくとなると、地方では「不公平」と言われたりしそうな気もしますね。

山下:行政主導で「こういうプロジェクトやります」という発想ではなく、地域の中で自然発生的に動いてるものに対して後押しをすることがすごく大事ですよね。永井さんの著書『そうだ、星を売ろう』でも、主人公たちがプロジェクト継続の資金がない状況で、村長の判断で予算をつけた場面があります。

行政では公平性を保つことも必要ですが、公平性だけではなかなか動くものも動きません。新しいことを生み出すときには、誰かにフォーカスする必要もあります。地域の今後のブランド化のためには、「割り切って支援していく」という行政のあり方も、今の地方行政には問われてきます。

地域プロジェクトは、個人が動かす

永井:地域の人たちが生み出すアイデアの芽を、潰さずに育てていくということですね。

山下:だから行政は、つねに地域の活動をしっかり見て、たとえば誰が面白いカフェをやってるのか、どこで面白いイベント仕掛けているのか、地域の活動に対してしっかりアンテナを立てる必要がありますね。行政と民間の接点が少ないと、せっかくの活動が途中で終わってしまうことも多いですね。

永井:私は企業の商品開発を支援する仕事が多いのですが、「地域の民間」を「若手社員」、「行政」を「経営トップ」に置き換えてみると、まったく同じ状況ですね。若手が活発にアイデアを出し、経営トップの理解があってアイデアの事業化を後押しする企業は、元気ですね。

山下:まさに地域もそうですね。地域で何か仕掛けたい人は、まずスモールスタートで自分たちで始めて、PDCAを小さく回してみることです。たとえば阿智村は、「日本一の星空ナイトツアー」で初年度は5000人の目標に対して6500人集客しましたよね。

この最初の段階は、民間が自分たちのおカネでPDCAを回す。すると次第に課題もわかり、「ここは行政の支援をしてもらおう」ということが見えてきます。こういうことを何もしていないのに、「こんなアイデアがあります。おカネ出してください」はちょっと違うかもしれません。最初は志が同じ共有できる人たちでスモールスタートを切るってことが重要だと思います。

永井:そうして「お客様が買う理由」もしっかり作って、自分たちも儲ける仕組みもちゃんと考えていくことですね。

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