草刈り場になるドコモ 5年ぶり契約数純減

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アマゾンを目指すが…

 アップルはアイフォーンの販売台数に関して、キャリアに厳しいノルマを課す。アプリなどのサービスもアップルの承認がなければ配信できない。独自のサービスにこだわるドコモはアイフォーンを避け、自由度の高いグーグルの基本ソフト(OS)であるアンドロイドを搭載した端末を販売してきた。

ドコモの端末は「dメニュー」「dマーケット」のサイトへ簡単にアクセスできるようになっており、利用者はそこから音楽や映画、アニメといったコンテンツを購入できる。直近ではゲームや物販などを始めた。「目指すのはアマゾン」(加藤社長)だ。

しかし、これが顧客獲得の武器になるかといえば疑問符がつく。類似のサービスはすでにたくさんあるうえ、dメニューやdマーケットはドコモの端末でしか決済できず、使い勝手がいいとはいえない。何より他社へのユーザー流出が拡大しているという事実が、サービスの魅力のなさを表している。

「アイフォーンを扱わないなら、おサイフケータイやワンセグ、防水といったアイフォーンにない機能の優位性を訴求すべきだった。マーケティングに失敗した以上、今後はアイフォーンを扱うしかない」とSMBC日興証券の森行眞司シニアアナリストは言う。

契約数の純減を発表した7日。低迷を続けているドコモの株価は大幅に上昇した。アイフォーンの取り扱いを始めるのではないかという思惑からだ。ドコモの内部からも「アイフォーンを導入してもいい」(幹部)という声が漏れてくる。

ドコモの契約数は国内シェア4割強を誇るが、ジリジリと下がり続けている。アイフォーンなしでどこまで戦うことができるのか。ライバルは勢いを増しており、反転攻勢は簡単ではない。

(撮影:風間仁一郎)

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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