ホンダ「クラリティ」の燃費は一体どれくらいか 最新鋭のガソリン車やHVと乗り比べてみた

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クラリティ・フューエルセルは、とはいえ、簡単にいうと、よく出来たクルマだ。ハンドリングがよくて走らせる楽しみがあり、燃料ポンプが発する高周波の音もごく低く抑えられているなど静粛性が高く、乗り心地も快適。つまり出来のよさに感心する内容だ。先代のFCXクラリティもクルマとして悪くなかったが、新開発のシャシーを得たクラリティ・フューエルセルはいっそう進化した感が強い。

水素を作る(いろいろなやり方がある)ところから、液化するなどして燃料として運んでステーションまで運んで、燃料電池車に圧縮充填し、最終的に燃料電池として発電する。一連の過程を専門用語で「ウェル・トゥ・ホイール」という。ウェルとは通常油井のことで、今回は水素を作る源のことをいう。どれだけエネルギーを失わないでいられるか。逆にいうとエネルギー効率をどれだけガソリンに近づけられるか。それが燃料電池車の当面の課題だ。そこで納得できれば、クラリティ・フューエルセルは日常的に乗りたいと思わせる出来だった。

ダイハツ「ブーン」は生活密着型の商品提案

ダイハツ・ブーン(写真はシルクというグレード)は1リッターエンジン搭載

燃費でいうとガソリン車でもかなり頑張っているクルマがある。

「軽自動車で培ったノウハウを生かして」。ダイハツ工業が2016年4月に発売した新型ダイハツ・ブーン(トヨタ自動車版のトヨタ・パッソも同時に発売)の謳い文句だ。僕もたまにはこういうクルマに乗るのです。軽自動車うんぬんというのは「ガソリン登録車No.1」と同社が喧伝するリッター28キロ(JC08モード)の燃費のことを言う。ちなみに「登録車」は軽自動車でない自動車のこと。専門用語は複雑なのだ。

ダイハツ・ブーンは1リッター4気筒エンジンを軽自動車より25センチほど大きな車体に搭載している。遮音材を出来るだけ多く使ったりラジエターファンなどの構造を見直して低騒音化するなど静粛性を高めたのが特徴のひとつ。カメラとレーザーレーダーとソナーセンサーを組み合わせて自動ブレーキや車線逸脱警報装置を設定するなど安全装備を充実させたのが特長の第2点め。

前輪の切れ角を拡大し従来型より小回りが効くなど取り回しのよさを向上させている。いっぽうで、ホイールベースを延長したりリアシートを後方配置したりして、後席の快適性を高めている。ダイハツ工業の言葉を借りて端的に表現すると「生活密着型の商品提案」となるが、なるほどと思わせる出来なのだ。

次ページとくに感心したのは、後席の乗り降りだ
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