竹中教授「日本のフィンテックがダメな理由」 米国は無審査でポンと5000万円貸してくれる

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なぜ日本のフィンテックは米国よりも遅れているのか。日本の金融機関がユーザーに「使えるフィンテックサービス」を提供するためには、何が必要なのか。竹中平蔵・慶大名誉教授がわかりやすく解説する
昨年から「バズワード化」した「フィンテック」。金融とテクノロジーの融合が、新しい金融ビジネスを生み出す源泉になりつつある。その分野は、資産運用、レンディング、保険、仮想通貨、決済など、実に幅広いが、既得権を守ろうとする力の強いこの日本で、新しいフィンテックス・サービスはどこまで広がるのか。また、広めるために必要なことは何なのか。慶應義塾大学名誉教授・東洋大学教授の竹中平蔵氏と、情報系フィンテック企業として注目を集める株式会社ZUU代表取締役兼CEOの冨田和成氏、そしてグッチーポスト代表取締役のぐっちーさんこと、山口正洋氏がフィンテックをテーマに話し合った。

日本でフィンテックは政策面で何ら対応ができていない

山口:3人の立場を明確にして話を進めたいと思います。竹中さんは、小泉政権で金融担当大臣をお務めになっておられたので、ぜひ金融行政の中核の視点からフィンテックへの知見を頂戴したいと思います。また、富田さんは現在ZUUというフィンテック企業を立ち上げられているので、プレーヤーとしての視点からお話をぜひ。それから、私はユーザーとしての立場で話ができると思うのですが、まずは、お二方のフィンテックに関する視点や、取り組んでいらっしゃることについてお話しください。

竹中 平蔵(たけなかへいぞう)/慶應義塾大学名誉教授、東洋大学教授。博士(経済学)。一橋大学卒業。ハーバード大学客員准教授、慶応義塾大学総合政策学部教授などを経て01年、小泉内閣の経済財政政策担当大臣。金融担当大臣、総務大臣などを歴任。現在、アカデミーヒルズ理事長、(株)パソナグループ取締役会長、オリックス(株)社外取締役などを兼職

竹中:私はテクノロジーのスペシャリストではありませんが、「日本の経済社会を、政策面からどう改革するか」に関心があります。そのなかでフィンテックは、すでに米国で存在感が高まっており、将来が有望視されているにも関わらず、わが国では政策面で何ら対応できていないのが現実です。

安倍内閣の成長戦略においても、残念ながら200ページ以上にもわたる「霞が関文学」のなかで、ようやく1ページ半程度がフィンテックの記述に割かれている程度です。

「第4次産業革命」と言われるなかで、Uber(ウーバー)やAirbnb(エアビーアンドビー)に対する関心は高まっているものの、フィンテックなど金融分野になると、ほとんど何も進んでいません。

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