瀕死のWOWOWを救った幸之助流「経営のコツ」 最後の愛弟子が語る「3+7」の復活劇とは

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──4割、ですか。

無駄があるのはわかっていましたから。番組制作費は4割、宣伝費は5割、販促費は3割カット。しかし、顧客満足度は下げるな。カネの代わりに知恵を出せ。スローガンは「ケチで元気」です。

ただし給与カットはしなかった。売上高人件費比率は6%以下。削っても高が知れている。むしろ、若い人のやる気を引き出したい。

ダイレクトセールスをすっぱりやめた

──マーケティングのほうは?

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当時、加入者の8割が電器店経由。残り2割がダイレクトセールスでした。WOWOWはダイレクトセールスを拡大しようとしていた。ところが、電器店からきついおしかりを受けた。「WOWOWは『電器店でもお申し込みいただけます』と言っている。『でも』とは何だ!」。

僕はダイレクトセールスの中止を決断した。反対はありました。「電器店が協力してくれないから、ダイレクトを始めた。せっかく2割になったのに」というわけです。

そうじゃない。電器店に協力してもらえるようにこちらが努力すれば、8割という大きな土台をさらに大きくできるんだよ。

始めたのが、電器店や家電量販店を対象にした代理店懇談会・懇親会です。全国9カ所、延べ11日間開催した。親睦を深めて心の距離を縮め、信頼を回復するのが狙いです。

ハプニングが起こりました。大阪で懇親会を開く当日、ヘルペスを発症し、顔面が異様にはれ上がってしまった。ラリルレロも発音できない。「即刻入院せよ」という医者の言葉をはねつけて会場に駆け付けた。そしたら痛々しい姿に、電器店の皆さんから大声援をいただいて。

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