瀕死のWOWOWを救った幸之助流「経営のコツ」 最後の愛弟子が語る「3+7」の復活劇とは

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松下幸之助の「最後の愛弟子」といわれる佐久間昇二氏が、WOWOWで実践した松下幸之助の「経営のコツ」とは(写真:今井康一)
日本経済の司令塔、経団連が設立したWOWOW。破綻の淵にあったこの会社を救ったのは、松下幸之助の「経営のコツ」を“編集”し、実践した男だった。当時を振り返って『イノベーションは「3+7の物語」で成功する』を書いた、WOWOW元社長でパナソニック終身客員の佐久間曻二氏に、再建の詳細を聞いた。

初めて幸之助と話したとき身震いがした

──「松下幸之助の最後の愛(まな)弟子」といわれます。幸之助さんはどんな方だったのでしょう。

たいへんな聞き上手。この人になら全部しゃべってしまおう。そういう雰囲気を作ってくれる人だった。

最初にお話ししたのは20代半ばのとき。ミシン会社の予約販売制度の調査を命じられた。予約販売制度というのは、顧客に前金を積み立てさせ、積立金が購入額に達したら商品を納入する仕組み。売る前におカネが入ってくるので、当時のミシン会社の財務内容はピカピカでした。

幸之助はいたく感心して松下電器産業(現パナソニック)にも導入しようと思っていた。僕は「おやめになったほうがいい」と申し上げた。

けげんな顔をした幸之助から質問が二つ。最初の質問は「これ、自分の目、足で調べたんか」。次の質問は「このミシン会社は一流会社やろ。一流会社のやっていることをうちがやって、何であかんのや」。

キャッシュリッチなミシン会社は当時、一流会社とみられていたのです。「一流会社がやっているから、と判断されるのは間違い。これが一流会社にふさわしいかどうかで判断するべきです」。すでに予約販売制度をめぐって解約トラブルや架空契約問題が頻発していました。

「わかった。じゃ、やめよう」。この間、15~20分。入社5~6年のチンピラの調査報告に素直に耳を傾け、即決する。身震いしました。

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