3.07倍――振り込め詐欺以外の特殊詐欺の被害額増加率《気になる数字》

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電話で現金をだまし取るなど直接対面しない特殊詐欺の増加が止まらない。代表例である「振り込め詐欺」では、2012年1~10月の実質被害額(ATM引出額を含む)は123億4093万円で、昨年同月までの106億0633万円を大幅に上回っている。警察庁が発表した「振り込め詐欺を始めとする特殊詐欺の被害状況」による。

認知件数5028件に対して検挙件数は1614件だった。前年より16.7%減少しており、警察や各機関からの注意などむなしく被害が拡大している。手口別の被害者構成は「オレオレ詐欺」「還付金等詐欺」では60歳以上のお年寄りがほとんど。中でも70歳以上の女性が目立つ。

それにも増して増勢を示しているのが、「金融商品等取引名目」を主とした「振り込め詐欺以外の特殊詐欺」だ。同じく12年1~10月の認知件数は1866件、被害額は「振り込め詐欺」を大きく上回る163億7648万円に上り、前年同期比3.07倍となった。1件当たりの被害額は877万円で、前年の787万円から大幅に増えている。主な手口は、価値や実体のない未公開株や有価証券についてDMや電話などで虚偽情報を提供、購入名目で金銭をだまし取るものだ。

月別で見た前年の被害額は12月がほかの月より突出して多かった。今年も12月を迎え、被害のさらなる増加が懸念される。うまい話には裏があることを心すべきだ。

(データ事業局・藤田公一 =週刊東洋経済2012年12月15日号)
記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

藤田 公一 東洋経済新報社 データ事業局
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