任天堂復活の切り札 Wii Uが抱える不安 かつての輝きを取り戻せるか

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今後も販売を伸ばし続けられるかは、ゲームに関心のない層を取り込めるかに懸かっている。そのためにはWii Uでしか体験できない遊び方を提案する必要がある。

カギを握るのはソフトだ。Wii Uと同時発売のソフトは日本では11タイトルが予定され、その後も発売時期未定を含め14タイトルが並ぶ。だが、ラインナップは過去に発売されたタイトルの続編や他社のゲーム機にも提供されていたソフトが中心。Wii Uに合わせて作り込まれたソフトは、ほとんど見られない。

ソフト開発会社を取り巻く環境も変化している。スマートフォン向けのゲーム市場が急成長しており、開発の軸足をそちらにシフトしつつあるのだ。「ヒットするか賭けの部分が大きいパッケージソフトは、日々の運用で勝負するスマホ向けに比べうまみが少ない」とあるソフトメーカーの幹部は打ち明ける。パッケージソフトの開発は、スマホ向けより時間もコストもかかる。ハードの性能が高いWii Uはなおさらだ。

任天堂が消費者やソフトメーカーを引き付けるには、まず自社開発のソフトで「Wii Uでこんな遊び方ができる」というお手本を見せる必要がある。前機種のWiiでは、リモコン型コントローラーを実際に振って楽しむテニスゲームなどそれまでのゲーム機とは違う遊び方がユーザーの心をつかみ、世界累計販売台数9700万台超の大ヒットとなった。Wii Uで再現することができるか。

(週刊東洋経済2012年12月15日号

筑紫 祐二 東洋経済 記者

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ちくし ゆうじ / Yuji Chikushi

住宅建設、セメント、ノンバンクなどを担当。「そのハラル大丈夫?」(週刊東洋経済eビジネス新書No.92)を執筆。

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二階堂 遼馬 東洋経済 記者

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にかいどう りょうま / Ryoma Nikaido

解説部記者。米国を中心にマクロの政治・経済をカバー。2008年東洋経済新報社入社。化学、外食、ネット業界担当記者と週刊東洋経済編集部を経て現職。週刊東洋経済編集部では産業特集を中心に担当。

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