日産の北米戦略車、陰で泣いた部品メーカー 垂直立ち上げで勇み足

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「自社には直接の影響はなかった」というある内装系部品メーカー幹部は、「新型車を量産するに際して、完成車メーカーは部品メーカーの生産の準備状況を何段階かでチェックする。準備が不十分で計画数量に耐えられないと判断すれば、どこかの段階でストップが掛かるはず。生産が始まったと言うことは完成車メーカーがゴーサインを出したから」と言う。

日産のチェックは十分だったのか

つまり、部品会社の準備不足もさることながら、日産自身がチェックを怠った(省いた)か、ある程度認識していながら、垂直立ち上げを意識しすぎて勇み足があったと考えられる。

日産では11年からスタートし16年までの中期経営計画で、モジュール化を核とする新しい車両設計技術「日産CMF」を導入し、51車種もの新型車を投入すると宣言している。新設計思想での大量の新型車を立ち上げるとなると、部品メーカーにはますます負荷がかかることも予想される。今回の北米の混乱はほぼ収束してきた模様だが、中期計画の完遂には、部品メーカーとの連携の不備は許されない。

丸山 尚文 東洋経済 記者

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まるやま たかふみ / Takafumi Maruyama

個人向け株式投資雑誌『会社四季報プロ500』編集長。『週刊東洋経済』編集部、「東洋経済オンライン」編集長、通信、自動車業界担当などを経て現職

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