常軌を逸した実母の暴言にどう対処すべきか 「お前はアホで、デブで、死ね!死ね!」が口癖

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望子さまは絶対に、すぐにでも親と別居するべきです。あなたが親と同居を続けておられる理由は、親に感謝しているあなたが親を看取るのが義務だというお考えからですね。しかし私はそのようには考えません。この場合はむしろ同居を続ける方が親不孝です。

世には娘夫婦と同居できるのを大歓迎する親はたくさんいますが、すべての親がそれを望んでいるわけでは、勿論ありません。あなたのお母様からあなたへの暴言・暴行は、結婚した娘が婿と孫を連れて戻ってきた時からひどくなったのですね。

娘夫婦との同居が、母親の人生を狂わせた

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私の想像ですがお母様にすれば50代で、いろいろやりたいことが一杯あった矢先だったかもしれません。同居した娘はサザエさんのように専業主婦ではなく、孫の養育をすべて任されたのです。ということは、婿の食事の世話やその他の気遣いも、いろいろ発生しました。二人だけの気楽な生活が一変したのです。

そのことも考えれば、お母様は最初から同居を断ることもできたはずです。ところが孫の養育も一手に引き受けてくれました。その発端が、あなたの姑の男癖です。ということは口は悪いけれど、お母様は元々そんなに冷たい人ではありませんでした。そんな彼女の今に至る、あなたに対する常軌を逸した暴言・暴行は、間違ってはいますが、その生活の激変によるストレスが全てあなたに向けられたのかも知れません。それ以外に原因があったとしても、その根は相当深そうです。

一時期、「マスオさん現象」という言葉が流行りました。婿養子ではないが、妻の実家で妻の両親と暮らす家族の形です。私の経験ですがどうしても子どもと同居するなら、これは従来の長男夫婦との同居よりはずっとましな形だと思っています。ただしそれはサザエさんとフネさんのように、母娘関係が良好か、健全な喧嘩ができる間柄であることが前提です。

私の周囲にも、このような「サザエさん家族」は珍しくはありません。しかし娘として親と同居しているある友人は、「実家での同居による親と夫の板挟みは、嫁姑時代の気苦労などの比ではない」と泣いています。

またいつも娘家族と仲良く旅行や外食を楽しみ、娘婿との会話もお友だちのようで皆から羨ましがられている別の友人は、「ここだけの話、実は私は娘婿が大っ嫌いなの。私が亡きあとのことが心配で、離婚してほしいと願っているわ。でもそれは娘が決めることで、少なくとも私が原因でそうなるのは逆にこじれるだけでしょう?だから本心を悟られないよう、頑張っているだけなの」と告白して、周囲を驚かせたことがありました。

いずれの友人も仲が良かった母娘間で、健全な母娘間の意志疎通や母娘喧嘩がなくなっていき、10年程で複雑に感情がこじれて同居を解消しています。2世帯同居に限らず同居するということは、摩擦が生じるのは当然で、気分の悪いことやしなくてもよい喧嘩があるのは織り込み済みです。しかしそれ以上に喜びがあり、利便性もあるから双方の努力でトラブルを乗り越えていくのです。一方に喜びや利便性が感じられなくなれば、もはや同居は不幸の始まりです。

次ページ摩擦や努力の程度はそれぞれだが…
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