ゴーゴー世代のラストウォー 「パーソナルコンピュータ革命」の最終章

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サンは「ネットワークはコンピュータだ」をキャッチフレーズに掲げていた。これは現在の流行語に訳せば、クラウドコンピューティングだ。明らかにその考え方を先取りした会社だった。ビル・ジョイ(54年11月~)がチーフサイエンティストとして技術面をリード。無償のプログラム言語として今でも多く使われているJAVAの元締めとしても知られ、マイクロソフトの「.NET」を苦しめてもいた。

インタビューの際に「なぜ執拗にマイクロソフトを批判するのか。ビル・ゲイツに個人的な恨みでもあるのか」と尋ねたことがある。そうするとマクニーリーは「個人的な恨みなどはない。でも、独占は絶対に悪という思いがある。私の父親はアメリカン・モーターズの幹部だった。GMに買収される前に、自宅で寂しそうにしていた後姿が忘れられない」と答えてくれた。

あの人もこの人も……

ゲイツを支え続けてきたスティーブ・バルマー(56年3月~)の父親はフォードモーターの幹部だった。マクニーリー、バルマーとも、父親が最先端の自動車産業で働いていたわけである。

パックス・アメリカーナの全盛期を支えた自動車産業の発展、円熟を目の当たりにしたのがゴーゴー世代だ。学生時代には、パックス・アメリカーナを支える権威が大きく揺れていた。泥沼に陥ったベトナム戦争にどういうスタンスで臨むか、政府・警察などの権威にどのように対峙するか、若者たちは悩み続けていた。そんな時代背景の中で、パーソナルコンピュータ革命は進んだ。

ゴーゴー世代には、ほかにも重要人物がたくさんいる。ワールドワイドウェブ(www)を生み出したティム・バーナーズ・リー(55年6月~)、ロータスノーツの開発者で一時期マイクロソフトの最高技術責任者を務めていたレイ・オジー(55年11月~)、初期のマイクロソフトのOSを開発したマーク・ズビコウスキ(56年3月~)、グーグル会長のエリック・シュミット(55年4月~)、現在のグーグルのサーチエンジンを先取りしていた「アルタビスタ」を開発したルイ・モニエ(56年3月~)などなど。

ティム・バーナーズ・リーはイギリス人。先日のロンドン五輪ではイギリスが生みだした偉人として紹介された。名前から分かるように、ルイ・モニエはフランス人である。パーソナルコンピュータ革命、インターネット革命は米国西海岸だけで起きていたわけではないのだ。

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