自動車業界はソーシャルで大きく変わる 日産再生を担った米セールスフォース・ペラタ氏に聞く

拡大
縮小

2つめの例はソーシャルメディアを分析することにより、自動車メーカーが顧客情報をダイレクトに持つことができるようになったということです。ある人がディーラーに行き、あまり愉快な思いをしなかったとします。そしてこの人がそのときのことをツイッターでつぶやいたとする。あるいは自動車メーカーのフェイスブックのサイトに不満を書き込んだとする。

さて、自動車メーカーはどのように対応するか。かつてはこうした情報はディーラーしか持っていなかった。自動車メーカーにはめったに伝わることがありませんでした。

メーカーがどう対応するかが重要な課題

しかし、今ではメーカーが直接、知ることができ、いろいろな手を打つことができるようになりました。顧客に対しダイレクトに連絡をして対応するか、ディーラーに対して対応するよう指示を出すか、あるいは何もしないか、などさまざまな選択肢があります。どの選択肢を選ぶか、どのような対応をするかが、今後の重要な課題です。対応の仕方によっては、ブランドロイヤリティが高まるかもしれません。

この2つの例におけるポイントは顧客がもたらしてくれる情報をいったい誰が所有するのか、ということです。データを所有し活用する会社にとって、大きなビジネスチャンスなのです。

――放っておけば他社がビジネスチャンスを奪っていくということですね。

そのとおりです。しかもこれまでライバルだと思っていた同じ業界のプレーヤーが奪うわけではありません。まったく違う業界のプレーヤーが奪っていくのです。

これは歴史がすべてを物語っています。新聞、テレビ、雑誌などのメディア業界はインターネットの波への対応を誤ったことにより、多くのビジネスをグーグルなどのインターネット企業に奪われました。これまで電話中心の携帯電話機をつくってきたメーカーは、アップルが生み出したスマートフォンにより、その市場を一気に奪われました。

次ページ何もしなければ他社に奪われる
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT