東大美女との「相席旅行企画」が炎上したワケ HKT48「(女の子は)おバカでいい」から考える

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ところが、旅行会社のHISが「東大美女図鑑」という東大の「美女」を集めたサークルと組んで、海外旅行のフライトでお隣にその「東大美女」が座って話をしてくれるという企画を発表し、ネットで炎上したために、即日撤回するという「事件」が起きてしまいました。批判の声はHISに留まらず、企画に登場した女子学生にまで向けられました。「賢くて可愛い」と女子大生の目線からも肯定されるはずの存在が、一転して批判の対象となることとなったのです。

HISと「東大美女図鑑」は何が問題だったのか

ちなみにこの東大美女図鑑のHPに挙がっている人たちの「好きな講義」では、31人中4人が私の「ジェンダー論」を挙げており、「ジェンダー論勉強して、こんなことするの?」といったネット上の書き込みもたくさんありました。東大は専任教員だけで2500人以上いるので、講義というのは少なくとも1万以上はあるはずです。その中でジェンダー論を選んでくださるのは、ありがたいと思う一方、私には回答の責任もあるように思えます。

まずは大教室の学生さんたちの反応を聞いてみました。「当事者が合意しているのだから、全然問題ない」と答える学生さんたちには、「だとすれば、なぜこれは中止になるのか、誰を不愉快にさせたのか」と問いかけました。

ミスコンで選ばれる人は、のど自慢コンテストで選ばれる人と同程度には、社会的に評価されてしかるべきだと私は思います。「外見は天賦のもので、努力の結果ではない」などと言うのは、すっぴんとナチュラルメイクの区別がつかない人の繰り言です。センター試験の点数も、親の教育に対する姿勢や所得水準、地域差など、当人の努力とは無関係なさまざまな要素に影響を受けているのは自明で、それは外見における才能と努力の関係と程度の差しかありません。

にもかかわらず、それを「礼賛」したはずのこの企画がなぜポシャるのかを考えてほしい、と問いかけました。あなたにとってOKで、当事者同士もOKなのに、なぜこれは「社会的に」ポシャるのか、どのように当事者間の合意を越えて、これは社会へと流れ出て、不快感を覚える人を生むのか。みなさんは企画をする側に立つこともありうるわけだから、どのようなスピル・オーバーの結果として不快感を生んだのか、想像力を働かせてほしい、と問うたのです。

さらに、実はその美女図鑑企画の当事者となった女子学生から直接連絡を受け、話を聞くこととなりました。

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