今どき日中貿易で収益拡大、物流会社のナゼ 対中輸出低迷でも輸入は活況

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中国からの輸入輸送には“反日”の影響が軽微だ(写真の港湾風景はイメージ)

エーアイテイーは関西発祥の中堅・独立系複合一貫輸送業者。通販会社や小売り量販業者向けに、中国製の日用雑貨やアパレル、家具類を日本へ輸入する海上輸送が主力だ。

上期における海上輸送の売上高は前年同期比11.4%増と2ケタ増に達し、下期についても同社の矢倉英一社長は「反日の悪影響を受けることは、全く考えていない」と強気の姿勢を崩さない。輸出ではなく日本向けの輸入が主体であり、安価な製品は日本国内で需要が安定している――などの事業特性が奏功していることによるものだ。このため、既存顧客のシェア拡大と新規荷主の開拓を進め、荷物量が着実に増大している。

ただ、コンテナ発注量の増加に伴って、大口荷主からの輸送料金の引き下げ要請はきつくなってきている。同社ではこの値下げ要請(販売価格低下)に対しては、委託する船運賃(同社にとっては仕入れ価格)を引き下げることにより相殺できること見て、期初からの増収増益計画に大きな変更はないとしている。

懸念はむしろ“人手不足”

同社にとっての懸念は、むしろ人手不足だ。日中間の貨物量の増加で、従業員(社員と臨時従業員)を今13年2月期だけで64名増員する計画だが、中間期末の段階では24名の採用に終わった。矢倉社長は「今後、人材採用会社など外部を活用し、残り40名の採用計画を達成したい」と話している。

今後の業績予想見直しのタイミングは、13年1月に予定されている第3四半期の決算発表後になる予定だ。エーアイテイーのもくろみどおり、中国からの輸入の活況が続くのかどうかが注目される。

鈴木 雅幸 東洋経済 記者

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すずき まさゆき / Masayuki Suzuki
2001年東洋経済新報社入社。2005年『週刊東洋経済』副編集長を経て、2008年7月~2010年9月、2012年4月~9月に同誌編集長を務めた。2012年10月証券部長、2013年10月メディア編集部長、2014年10月会社四季報編集部長。2015年10月デジタルメディア局東洋経済オンライン編集部長(編集局次長兼務)。2016年10月編集局長。2019年1月会社四季報センター長、2020年10月から報道センター長。
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