「キーワード求職」が絶対に成功しない理由 英語、外資、コンサル…これらは本質ではない

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そもそも、派遣社員だからほかでも通用するスキルが身につかない、という短絡的な関係にあるとも思いません。逆に正社員であればほかでも通用するスキルが自然と身につくかというと、そんなこともないのはご存じのとおりです。

もっといえば、数年でジョブローテンションと称して部署間をグルグルしているだけの正社員も、考えようによっては数年で契約期間が切れる派遣と一緒と考えることすらできますし、それを通じてほかでも通用できるスキルが身につくかというと、はなはだ疑問です。

反対に、派遣社員は業務の範囲が比較的明確に決まっており、なおかつある意味、その道の専門家として雇われているとも考えられますので、その業務を通じて「横展開」できる知識を身につけられるか否かはあくまでも個々人のスタンス次第です。

派遣社員として期間限定で雇用された人が期間を延長されたり、さらには正社員として登用されるケースがあるのも、社員と会社双方がお互いの価値を認め合った結果です。採用側としてもまったく業務における成果が不明な第3者を採用するよりも、実績をわかっている内部からの採用のほうがリスクもコストも低く効率的ですから、この流れは当たり前といえば当たり前です。

「派遣だから……」という考えは短絡的

しかしながら、そういったチャンスが巡ってくるのは「派遣だから」ということを言いわけにせずに、きちんとしかるべき業務をこなしてきた人たちのみです。したがって、派遣だからスキルが身につかないとか、未来がないという議論は非常に短絡的ですし、多くの場合は単なる言いわけにすぎないと考えます。

さて、そういった前提ではありますが、私がtoi ba laさんのケースにおいて転職を勧める理由は、冒頭のとおり、雇用のステイタスではありません。ましてや現在お勤めの環境や職種がどうのという理由でもありません。そうでなく、その理由は、toi ba laさんが今回「キーワード転職」をなさってしまったからだと、いただいた文章から思うからです。

キーワード転職とは私の造語ですから、当然聴き慣れない言葉かと思いますが、要は「自分にとっての本質的な目的を考えずに、よさそうに見えるキーワードだけをベースにイメージで転職をすること」です。たとえば、私は以前、戦略コンサル会社で採用も担当していましたが、何だかよくわからないけどコンサルという言葉のイメージに惹かれて転職を図る人が多かったと記憶しています。

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