現地ルポ!北朝鮮「経済5カ年戦略」の現場 「自主」「主体」謳う独自路線の成否は?

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金正淑(キム・ジョンスク)平壌紡績工場には充実した自習室がある

なかでも白さんは、1人で7台の機械を回し、1日に数十メートルの布地を編むことができるほどのベテランであり、工場内では「革新者」と呼ばれる模範的な従業員という。

金正淑(キム・ジョンスク)平壌紡績工場の李勇勤(リ・ヨングン)技師長

そのためか、5カ年戦略の「前倒し達成」に強い意欲を示した。また、同工場の技士長である李勇勤(リ・ヨングン、43)氏は、「5カ年戦略期間中に、生地の生産能力を現在の1.5倍にまで引き上げられる」と自信を見せる。すでに、高付加価値な整経機やボイラーなどを自主的に製造、輸入に頼らない生産体制を構築中と打ち明ける。

「輸入に頼らない」と李技士長が指摘するのは、今回の党大会で金党委員長が述べた「自力自彊の精神」という言葉と付合する。できるだけ外部に頼らず、自分たちで経済建設を行うというのが、今回の党大会で何回も触れられた「戦略路線」でもある。そのため、現場でも「自力自彊」によって生産性を高め、効率をどう上げるかという課題に取り組まざるを得ない意図が垣間見える。

金属産業は5カ年戦略をどう受け止めているのか

金哲好(キム・チョルホ)学部長

2012年に金正恩政権が本格化して以降、平壌を中心に住宅や商業施設、レジャー施設など建設ラッシュに沸く北朝鮮。また、工場など機械施設の更新需要も高まる中、そのような需要に応える基礎となる金属産業では、5カ年戦略をどう受け止めているのか。

北朝鮮を代表する理工系大学である金策(キム・チェク)工業総合大学金属工学部の金哲好(キム・チョルホ)学部長(55)は、「党大会直前にも、大学の教員やスタッフが黄海製鉄連合企業所をはじめ現場に出向き、計画の早期達成のために貢献した」と胸を張る。

また金学部長は「5カ年戦略期間中には、製鉄所などの生産現場で重要な電気炉や圧延炉など設備について、われわれの設計や資材で国産化することを目標にした」と言う。すでに一部設備の国産化を達成し、一部の製鋼所で試験稼働させたと付け加える。金学部長は、「自彊力だけが生き残る道。5カ年戦略期間中に“輸入”という言葉に終止符を打ちたい」と言う。

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