反抗期の子どもへの怒り、どう制御すべきか 「プッツン」「ムカッ」を解消する8つの方法

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ティーンエージャーの脳は未発達で、親や本人が思っている以上に、「不完全」なものだ。彼が意図しているわけでなくても、「脳」が怒りを正当化し、人のせいにするように作用しているのかもしれない。このように、自分で想像して描いた「ストーリー」を「相手に対する思いやりのストーリー」に書き換えることで、怒りは和らげることができるものだ。

⑧ 相手を責めるのではなく、自分の思いを伝える

カッとなって、相手をなじる、傷つけることが怒りの最も恐ろしいカタチだが、相手を責めたてるのではなく、自分の気持ちを素直に伝える事の方がずっと説得効果は高い。

偏食の息子は、弁当に全く口をつけずに帰ってくることがある。「食べなさいよ」「なんで食べないのよ」と問い詰めても、弁解もなく、「うるさい」と言うだけ。そんなことをこぼしていると、夫が「君が○○○すると、ママはXXXという気持ちになるのよ」と諭してごらん、とアドバイスをくれた。

そこで、「□□くん、ママは愛情をたくさんこめて、毎日お弁当を作っているのよ。食べてくれないとママはそういう思いが受けてもらえなかったのかな、と思って、本当に悲しくなるのよ」と言ってみた。

そうすると、「あ、ごめん。分かった」と超素直な反応が返ってくるではないか。夫曰く、男性は人の気持ちが読めない人が多いので、「(相手が)こういう思いをしている」と伝えられると、びっくりして自分の間違いに気づくのだという。これは目から鱗の発見だった。

「怒り」を排除して穏やかに語ると効果絶大

以上の「実験」の結果、筆者の「ヒステリー体質」は劇的に改善された。「怒り」を排除して穏やかに語れば、素直に耳を傾けてくれ、「話し合い」もできるようになり、お互いのストレスもかなり軽減された。

とはいえ、息子は相変わらずの能天気だし、ずぼらぶりも大して変わっていない。とりあえず、「正しくないしつけ」から脱却するのが第一関門。次は、息子君のやる気をどう引き出すかが大きな課題だが、これは、ダメダメ部下の蘇生法スキルとして使えるに違いない。コミュ力修業を重ねることで、さらなるヒントを探していきたい。

岡本 純子 コミュニケーション戦略研究家・コミュ力伝道師

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おかもと じゅんこ / Junko Okamoto

「伝説の家庭教師」と呼ばれるエグゼクティブ・スピーチコーチ&コミュニケーション・ストラテジスト。株式会社グローコム代表取締役社長。早稲田大学政経学部卒業。英ケンブリッジ大学国際関係学修士。米MIT比較メディア学元客員研究員。日本を代表する大企業や外資系のリーダー、官僚・政治家など、「トップエリートを対象としたプレゼン・スピーチ等のプライベートコーチング」に携わる。その「劇的な話し方の改善ぶり」と実績から「伝説の家庭教師」と呼ばれる。2022年、次世代リーダーのコミュ力養成を目的とした「世界最高の話し方の学校」を開校。その飛躍的な効果が話題を呼び、早くも「行列のできる学校」となっている。

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