バナナが時間計測単位の国を知っていますか 世界中にある「日本語に訳せない言葉」の魅力

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これも直訳がなかなか面白い言葉の1つ。イディッシュ語「ルフトメンチュ」。意味は本書で

同じくドイツ語「Kummerspeck(クンマーシュペック)」は、私が「この言葉、使える!」と思った言葉のひとつだ。直訳すると「悲しいベーコン」。

その真意は「食べすぎがつづいて太ること」だ。「よくある!」と思わず私も意気込んでしまったが、まさかたった一言でそれを言い合わしてくれるとは、なんて便利なのだろう。個人的には、ベーコンはあまり食べないため、「悲しいケーキ」かもしれないが…。

これも直訳がなかなか面白い言葉の1つ。イディッシュ語「ルフトメンチュ」。意味は本書で。

「愛」の表現は万国共通で必要だ

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ここで紹介をしすぎてしまうと、本書での言葉との出会いの感動が減ってしまうため、このあたりで控えておきたいと思うが、他に紹介されている言葉のなかには「愛」に関する言葉が少なくない。やはり「愛」の表現は万国共通で必要とされるもののようだ。

また、本書では日本語の単語もいくつか紹介されている。私たちが当たり前のように使っている言葉が、日本独自の表現なのだという気づきも新鮮だ。なお、そのなかのひとつは、HONZ愛読者であれば、絶対に使ったことがあるはずの言葉だ。ぜひ、本書で見つけて、この言葉がない世界を想像してみてほしい。きっともどかしい気持ちに駆り立てられるはずだ。

私が気に入った言葉の1つ。タガログ語「キリグ」

ちなみに私が本書で出会い、「この概念、素敵!」と世界観が広がったのが、ヘゼリヘ、キリグ、ウブントゥ、ティヤム、ナーズ。

「この感覚を表現する言葉がほしかった!」と“痒い所に手が届いた”言葉が、カーベルザラート、シンパティクシュ、レースフェーベル、ヴェシランド、ヴェルトアインザームカイトだ。

ぜひ本書で、言葉との出会いを楽しんでみてはどうだろうか。

(※画像は筆者のエラ・フランシス・サンダースから、特別に提供いただきました。エラのホームページ ellafrancessanders.com で一部の画像は購入も可能です。)

アーヤ藍 HONZ

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ユナイテッドピープル取締役。ドキュメンタリーを中心に、社会問題をテーマとした映画の配給宣伝に携わる。小さい頃から現代美術、演劇、映画にはよく触れてきたが、共通して、人間の心理や社会構造を炙り出しているような作品を好む。戦争・紛争、心理学・コミュニケーションが最近のメイン関心分野だが、基本的には飽き性で雑食。

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