あなたはネットの本質を理解していますか 破壊的なイノベーションを起こした理由

拡大
縮小

仮想化はシェアの獲得もデジタルパワーで加速してしまう。結果として、グローバルマーケット(世界市場)で情報通信分野においてプラットフォーマーと呼ぶにふさわしい日本企業は1社も存在しない。威勢良く見える日本の会社があっても、それは日本語圏だけでの話だったりするのは読者がよくご存じの通りだ。

いずれにしても「本当に働いている人」よりも「働く人をデジタルとインターネットでサポートする人」のほうが儲かるというのは、なんとなく理不尽な気がしないでもない。中年起業を目指すメディア「42/54」的には「他から攻撃される可能性が低い、ものすごく小さなプラットフォームを作れ」がアドバイスになるのだが、これはまた別の項で書くことにする。

仮想化が加速すると、ルールの寿命が短くなる

デジタル・データは仮想化を加速する。これはインターネット上のビジネス・ルールの寿命が短くなることを意味する。バズワード(流行ことば)が長続きしないのはこれが理由だ。

こっちのアルゴリズム(手順)のほうが正確で安上がりだ、ということになったときのスイッチング(移行)コストが非常に小さいので、皆が雪崩を打ってそっちに行ってしまうのだ。節操のない軽薄な日本人と政府にはうってつけの性質ではある。

今はまだかろうじて斬新に聞こえる「ディープ・ラーニング(deep learning)」という言葉も、早晩陳腐化するだろう。ITにご執心だった経済産業省も、最近はすっかり「IoT」である。総務省は同じ内容を「ICT」と言う。なぜわざわざ違う言葉にするのかというと、管轄が違うからである。身も蓋も仁義もないのである。

こういう馬鹿馬鹿しい縄張り意識にも、零細企業の社長はせっせと付き合うことになるのだ。ともあれ、これからあなたがどんな業界でどんな会社を立ち上げようと、この加速する仮想化の流れと無関係ということは絶対にないことを保証する。

本稿はポスト資本主義時代の起業術を伝えるメディア『42/54』の提供記事です。

(文: 竹田茂)

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT