ヤマザキ「ランチパック」人気の秘密 PB隆盛ものともせず

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スーパーやコンビニエンスストアのパン売り場。近年は、小売り側の自主企画であるPB(プライベートブランド)商品がどんどん力を増す中で、ナショナルブランド(NB)と呼ばれるメーカー品の“牙城”として、ひときわ存在感を放つ商品がある。国内製パン最大手の山崎製パンが展開する「ランチパック」シリーズだ。

ランチパックシリーズは、発売30年弱のロングセラーで日本国内の専用品ながら、ここへ来て販売を大きく伸ばしている。ランチパックシリーズの2012年の売り上げは400億円を突破する勢いで、前年からは8%程度伸びる計算だ。山崎製パンの12年連結売上高計画が約9530億円と前年比2%増にとどまることを考えれば、突出した成長ぶりである。

ランチパックの取り扱いを増やす小売りチェーンもあり、PB隆盛のパン売り場では異例の存在である。日本は人口減で経済が縮小傾向にあるうえ、良くも悪くも需要が安定している食品市場で、ロングセラー商品がいま絶好調な秘密は何か――。

「中身を入れ替えるだけ」がミソ

その謎を解くカギは、ランチパックのシンプルな形状にある。ランチパックシリーズは、約10センチメートル四方の正方形に切った耳のない食パン2枚の間に、さまざまな具を詰め込んで包み込む。そもそもは「食パンを手軽に食べるという簡単なノリで始めた」(営業統括本部・マーケティング部の田村優和氏)。これこそがミソ。総菜系からデザート系まで、実に幅広い食材を使って何種類もの商品が展開できるのだ。

商品数は全国で常時40~50品。一番の売れ筋は、「ピーナッツ」「たまご」「ツナマヨネーズ」の定番3品で、これだけでシリーズ全体売り上げの4割を占める。一方、それ以外の商品は売れ行きや流行、地域の特性などに応じてひっきりなしに入れ替わる。本社で平均して月に4品、全国の20工場でも、1工場あたり年間4~5品は新商品を投入する。

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