日産「セレナ」がステップワゴンに勝つ理由 「ママ」が認める発売6年目の箱型ミニバン

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それに軽自動車やコンパクトカーなどでも同じだが、5ナンバー箱型ミニバンのような「生活の移動手段」的色彩の強い実用車は、モデルの新旧やライバル間での鮮度が、購入車種の決定に大きく影響しないこともある。特にセレナのような車に買い替える層は、車齢(乗り続ける期間)10年近辺というケースが目立つ。日常生活でも頻繁に使い、走行距離も増え気味なので下取り査定額もほとんど期待できない。つまり「乗り潰すのだから」という気持ちから、「新しさよりもできるだけ安く買えたほうがいい」という気持ちが強いユーザーも少なくない。

セレナのように販売激戦区の車種は新型へ切り替わる「端境期」での一時的な販売台数の落ち込みを最小限にするため、新型登場後も旧型の在庫を意図的に残すケースが多い。つまり一時的に新旧併売期間ができる可能性が高く、この夏のボーナス商戦ではセレナの存在感が際立ってきそうだ。

次期型セレナはどうなるのか

写真は日産の自動運転装置のテストカー

そして、次期型セレナが気になっているユーザーも少なくないだろう。

すでに一部メディアで次期型セレナと思われる擬装車の公道テスト風景の画像がスクープされている。擬装を施したテストカーが公道でデータを計測するのはそんなに珍しいことではないが、目を引いたのはそのロケ地が北米であったことだ。

セレナの属するカテゴリは日本の5ナンバーサイズに合わせていることもあり、東南アジア地域へ輸出しているモデルがあるぐらいで、どのメーカーのモデルも現在は北米では販売されていない。次期型セレナも5ナンバーサイズは堅持するものとされているので、北米で公道テストすることに多くの業界関係者が違和感を覚えた。

しかし事情通氏の分析によると、「次期型セレナは自動運転システム(限定的な使用となるので半自動運転とも言われている)を採用します。ただし日本国内ではこのシステムの公道テストを行うのはかなり難しいので、北米で自動運転システムの公道テストを行なっているようなのです」と説明してくれた。

さらに次期型セレナはガソリンエンジンが充電のために動く程度のレンジエクステンダーという仕様が追加設定される予定だという話もある。そのころにはステップワゴンにもハイブリッドが設定されているだろうが、先進装備ではライバルに先んじる存在となっていきそうだ。

小林 敦志 フリー編集記者

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こばやし あつし / Atsushi Kobayashi

某メーカー系ディーラーのセールスマンを経て、新車購入情報誌の編集部に入る。その後同誌の編集長を経て、現在はフリー編集者。

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