日本で進む「大人ディズニー」計画 日本は独自のクリエイティブセンターになる

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そして最後に、日本が独自のクリエイティブセンターになることだ。米国の商品やコンテンツをそのまま持ち込み、日本法人が販売とマーケティングだけをやるという時代はすでに過ぎた。08年から放送したTVアニメ「スティッチ!」は日本で制作した。商品のライセンス事業でも6割以上が日本オリジナル。「ディズニーストア」の売り上げの約9割も、日本でデザインしたものだ。今後さらに日本独自のコンテンツを増やそうと考えており、マーベルキャラクターを使ったアニメの制作も検討している。

日本市場の特徴を一言で言えば、大人の女性の支持が高いことだ。キャラクター商品の購買年齢層を見ても、20歳以上が35%を占める。日本では購買の決定権を女性が握っており、ある調査によると、どんな商品やサービスを買うか、67%は女性が決めるという。この数字を米国本社で話すと、みんなビックリする。

日本では大人の女性をターゲットにした「大人ディズニー」を進める。ディズニーストアでは今月、千葉県の柏に20~30代の女性をターゲットにした初の店舗を出店した。白を基調にした店舗デザインなどすべて日本で進め、出店までに約1年半を要した。顧客の評判は上々で、今後も拡大を検討する。

キャラクター商品にとどまらずライフスタイルを提案

ライセンスビジネスでも雑貨の「フランフラン」や「アフタヌーンティー」など、大人の女性に強いブランドと組んでいる。単なるキャラクター商品ではなく、ライフスタイルを提案するような商品にしていきたい。BS放送のDlifeを含め、若い女性との接点を積極的に増やしていく。

携帯ビジネスではドコモと組んで新しいスマートフォンを出す。テーマはカラー。白はミッキーマウス、青はドナルドダックなど、5つのカラーはディズニーキャラクターと連動し、キャラクターのアプリも増やす。Wi-Fiを使って、携帯のコンテンツをテレビに出力できるスクリーンボックスも用意した。携帯は日本独自のビジネス。今後も強化していきたい。

並木 厚憲 東洋経済 記者

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なみき あつのり / Atsunori Namiki

これまでに小売り・サービス、自動車、銀行などの業界を担当。テーマとして地方問題やインフラ老朽化問題に関心がある。『週刊東洋経済』編集部を経て、2016年10月よりニュース編集部編集長。

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