膠着相場から株価が「放れる」のはどっち? どう考えても「上」の方向になるはずだが

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仙台で行われたG7財務相・中央銀行総裁会議(写真:読売新聞/アフロ)

5月18日(水)に発表された2016年1-3月期 GDPは年率換算でプラス1.7%だった。某通信社が集計したシンクタンク25社の直前予想は、うるう年効果を入れてマイナス0.9%からプラス1.6%。それらが外れるというポジティブサプライズのはずだったが、当日の日経平均終値は8円安。翌日もわずか2円高。400円、500円と大幅な上げ下げを繰り返していたことがウソのような膠着相場になっている。

さすがに20日は、伊勢志摩サミットが迫りG7財務相・中央銀行総裁会議が始まったこともあり、日経平均は89円高の1万6736.35円と、25日移動平均1万6705.24円をわずかだが上回って終えた。その25日移動平均線も、買いシグナルと言われる75日移動平均線とゴールデンクロスを達成している。結果、代表的な移動平均線である5日、25日、75日線が、1万6600円台に収束した。通常この形になると、株価の習性で、これらの線は方向感を持って、一方向に大きく放れる。「上か下かへ」だ。

株価動向はGDP予測と共にある

サミットと選挙があり、震災復興策も大々的に出さなければならない。どう考えても、上か下かだったら「上」でしょうとなるはずだが、市場がそう動かないのは、どんなことをやっても日本はダメかもしれない。デフレ脱却も、子育て支援策もうまくいっていない。選挙も意外に自民党は大敗するかもしれない。そんな不安があるからだ。中国経済、英国のEU離脱で欧州はどうなるのか、一気に可能性を増した米国の6月利上げなど、海外をみても不安だらけだ。

1-3月期決算発表も終わった。ここもある意味ポジティブサプライズの感じだ。日経平均予想EPS(1株当たり利益)は、決算が終わった暁には1000円を切るかもと言われていたが、大量の特損が計上されても、5月6日の1091円24銭が最低だった。その特損の反動効果もあるが、先週末現在、日経平均EPSは1193円75銭と100円以上戻っている。

前述のGDPにしてもしかりだ。1年前のそれは年率換算で4.6%と言う高率で、日経平均は2万円を超えていた。その後、4-6月期にはマイナス1.4%となり、これが発表された8月半ばから株価は失速し、9月29日の1万6901円まで急落した。次の7-9月期は回復し、逆にプラス1.4%となった。これが発表された11月にかけて株価も戻り、12月1日には再び2万を回復した。

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