外国人投資家に無視された日本株と安倍政権 円安でも日経平均が上がりにくい理由とは

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18日が2.3兆円だったことから見るとわかるように、政策発表後、売買は減少したわけだ。日経平均株価は19日に1万6841円まで上昇したが、5月のSQ値1万6845円(SQとは特別清算指数のこと)をクリアすることができず失速してしまった。

詳しくは5月14日に筆者が書いた「『日経平均は(幻のSQ値)1万6845円を超えない』は本当か」を読んでいただければ幸いだが、前回に書いた予測通り、13日の「幻のSQ値=1万6845円」が意識された格好になった。

SQに絡んだ株式の売買代金は僅か1700億円ほどのため、需給面では目立ったしこりになる(それらの取引が重しになる形で相場に影響を与える)という状況ではないものの、一定の上値抵抗ラインとなっていることは面白い。今回も「幻のSQ値」という不可思議な効力が発揮された事例となった。

一方、為替市場では、米国の6月利上げの機運が高まっていることから、4月28日以来となる1ドル110円台を回復した。それでも、2017年3月期の想定為替レートが105円のトヨタ自動車やファナックなど、主力大型株や日経平均の上値は重いままだった。

再び「売りの姿勢」を強める?海外投資家

では目立っていた市場はどこかというと、値動きの激しいマザーズ市場だった。マザーズ市場は個人投資家中心の売買と言われる。つまり、足元で活発に商いを膨らませているのは個人投資家であって、海外投資家は売買を手控えている状況と言える。だが、マザーズにしても、実は20日金曜日の売買代金は1700億円と、18日の3000億円をピークに減少気味だ。
  
東京証券取引所によると、5月第2週の「投資主体別売買動向」では、海外投資家は現物株を567億円買い越している。

一方、先物市場では3722億円売り越しだ。つまり、差引きでは日本株を3000億円ほど売り越している計算だ。今年に入って海外投資家は1月から3月まで全て日本株売りで進め、4月に入ってから若干買い越す場面が見られた。ただ、ここにきて再び海外投資家は日本株売りのポジションを取りつつある。市場では、「海外投資家は日本株に見切りをつけたのではないか」との声が聞かれる。

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