電通が語った五輪「裏金疑惑」への弁明とは? 「ガーディアン紙の記事には誤認がある」

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電通は決算と同時に通期業績予想の下方修正を発表している。足元の円高傾向を織り込んだもので、下方修正額はほぼ為替による影響だ。

東京五輪のスポンサーシップ販売は現在、「オフィシャルパートナー」中心に拡大を進めている。 写真は第1号のゴールドパートナーであるNTT鵜浦博夫社長と森喜朗・東京五輪大会組織委員会会長(撮影:風間仁一郎)

収益は期初予想から484億円減の8172億円、売上総利益も484億円減の7687億円、営業利益は96億円減の1324億円とした。電通は今や、売上総利益の5割以上を海外で稼いでいる。年間400~500億円と精力的にデジタル分野の買収を進める中で、大きな影響が生じる見通しだ。

ただ、前提条件をよくみると、現段階ではかなり保守的と言える。国内の大手企業が期中の想定レートをそろって110円とする中、電通は1ドル=106.1円とした。1~3月期の平均が115.4円だったことからすれば、4~6月以降、103円で推移するという見通しだ。足元のレートが110円付近で推移していることからみても、電通の想定ほどにマイナス影響が広がる可能性は低いだろう。

グローバル顧客の寄与は年後半に

今後、国内では、オリンピックの権利を利用したテレビCMや商品、アスリートの応援イベントなどが増えていく。海外においては、昨年、グローバル企業が数年に一度開催する競合プレゼンに参加し、米食品大手「モンデリーズ」など、大型顧客の獲得に成功している。こうした成果も年後半から現れる見通しだ。

電通の石井直社長がこだわるのは、各地域の市場成長の倍の伸び、そしてライバルである海外大手を上回る成長を達成することだ。「海外大手は総合的なサービスができていないが、電通はあらゆるモデルを提供できる。すべての拠点で総合的な提案を進める」(石井社長)としている。

世界的な知名度に劣る電通にとって、独自の提案で顧客の満足度を上げることが、顧客開拓を続けるポイントになる。また、1~3月期にはデジタル領域を中心に10件の企業買収を実施した。こちらの影響やシナジー発現の取り組みも注目されそうだ。

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