「プロビオ」を当てた明治HDが減益に沈む理由 なぜ最高益更新が4期連続で止まるのか

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同業の食品メーカーである、キッコーマンやヤクルト本社も同じように減益見込みだ。ただ、こうした会社が「円高の影響」を織り込んでいるのに対し、明治HDの海外売上高比率は1割にも届かない。

減益計画の要因の1つめは、マイナス金利政策の余波で退職給付関連費用がかさむこと。食品事業だけで、15億円の営業利益押し下げ要因となる。2つめの要因としてはカカオなど原材料費の高止まり。これも、前期比で21億円の減益要因になると会社側は見ている。

減益は"意思ある踊り場"か

3つ目の要因が、製品数の絞り込みによる売上高の減少だ。今後の人口減少で胃袋の数が減っていくことに備え、採算の悪い製品を減らし、主力品に集中投資し、収益性を高めることが急務だ。明治HDは、来期以降の収益改善効果を見越した製品絞り込みにより、今期19億円の減益を見込む。

2017年10月完成予定の新研究所。バラバラだったR&D機能を集約する

一方で開発拠点の統合にも着手する。2017年10月、八王子市に新しい研究所が完成。これまで小田原(神奈川県)では乳製品について、鶴ヶ島(埼玉県)では菓子の研究開発を行ってきたが、2018年3月までに八王子に集約する予定だ。

屋台骨である乳製品と菓子に関する知見と技術を結集させることで、商品価値の向上を加速させる狙いがある。

今年10月にはグループ創業100周年を迎える明治HD。持続的成長の可否は、「プロビオ」のようなヒットを飛ばし続けられるかにかかっている。

中山 一貴 東洋経済 記者

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なかやま かずき / Kazuki Nakayama

趣味はTwitter(@overk0823)。1991年生まれ。東京外国語大学中国語専攻卒。在学中に北京師範大学文学部へ留学。2015年、東洋経済新報社に入社。食品・小売り業界の担当記者や『会社四季報 業界地図』編集長、『週刊東洋経済』編集部、『会社四季報』編集部、「会社四季報オンライン」編集部、『米国会社四季報』編集長などを経て2023年10月から東洋経済編集部(マーケティング担当、編集者)。「財新・東洋経済スタジオ」スタッフを兼任。

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