営業利益率8%実現、リスク取って勝負 コニカミノルタHD社長 松崎正年

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縮小

――欧州危機の長期化が懸念されるなど、グローバル市場において、事務機器事業を取り巻く環境は厳しさを増しています。

12年度の上期は、円高の影響もあって事務機器事業が対前年同期比で減益となり、液晶フィルムなど産業用材料事業の貢献で会社全体として増収増益という結果となった。

事務機器を見ると、注力しているA3カラー複合機は米国で16%、欧州でも4%、日本では9%、中国を含めたその他地域が7%と、台数ベースでは伸びている。欧州で販売台数を減らしている競合メーカーもある厳しい状況の中では、堅調に推移しているといえるだろう。

今、経済的にとても厳しい南欧の占める割合は、欧州全体の売り上げの7%程度で比較的少ない。ドイツなど北欧の主力国では、GMA(グローバル企業の拠点への事務機器の一括導入)を軸に健闘しており、南欧での落ち込みをカバーしている。

国内外で積極的なM&A 中国リスク対応が課題に

米国で事務機器市場の平均以上の成長を実現できているのは、これまで進めてきた成長戦略の効果が出てきているからだ。

米国では2年ほど前から、当社の販売拠点とシナジー効果が期待できる地域で、IT環境の構築、インフラ管理を提供する現地企業の買収を行ってきた。

複合機とITサービスをそろえることで、社内にITの専門部署を持っていない顧客に対しても、ネットワーク機能の進化した最新の複合機を提供することができる。実際、米国では複合機の売り上げの50%以上は、このようなITサービスが付随したものとなっている。

──今期も仏セリアン社、キンコーズ・ジャパンなどを相次いで買収しました。

セリアン社については、米国と同じ戦略を欧州各国でも展開していく一環と考えている。

キンコーズ・ジャパンの買収には、成長戦略でもう一つの重点製品として位置づけている、デジタル印刷機を伸ばしたいとの意図がある。

日本でデジタル印刷機を伸ばすには、キンコーズのようにプリントサービスを行っている企業を傘下に収めるのが効果的だ。買収して当社のデジタル印刷機を導入することで、プリントボリュームを増やしていくという絵を描いている。

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