落札企業ゼロが続出 市場化テストの異常

法務局で起きた前代未聞の事態とは

 全国各地の法務局が実施した競争入札で、おびただしい数の入札不調が発生し、2013年度の登記簿の公開業務を請け負う企業が決まらない事態が生じている。

法務省は、登記簿の閲覧や登記事項証明書の発行業務などを人材派遣会社など民間企業に委託。10月22日から11月5日にかけて、都道府県ごとに設置されている法務局単位で13年度から3年半にわたる業務の委託業者を決めるための競争入札を実施した。ところが、47都道府県53ブロックでの入札のうち、39ブロックで落札できた企業がなかった。

法務省は22日から再度、入札手続きを始めているが、再び入札不調が続出した場合、13年度以降の業務運営に支障が出るおそれもある。

かつて登記簿の公開業務は法務省の外郭団体である民事法務協会が一手に請け負っていたが、官僚の外郭団体への天下りに対する批判や公共業務の民間開放を求める声の高まりから、06年に制定された「公共サービス改革法」(市場化テスト法)の対象となり、「市場化テスト」(民間開放に基づく競争入札)が07年度から本格実施された。

ところが、民事法務協会に代わって全国で最も多くの局の業務を請け負った民間企業2社が、社会保険料や賃金を払わぬまま、突如、業務継続を断念。1500人を上回る職員が仕事を失うという前代未聞の事件が起きた。今年8月のことだ。

このときは法務省が急きょ、後釜となる企業を随意契約で選定するとともに、それまで2社に勤務していた職員の雇用を引き継がせることで最悪の事態を免れた。だが、現在も社会保険料や賃金未払いの問題は解決していない。そうしたいきさつがあるうえに、今回、入札不調続発という異常事態が新たに発生した。

次ページ同日に何十回も入札を繰り返すのは低価格の強要
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