キンドルでさえも、ガラパゴスの罠にはまる なぜ日本は「電子書籍の墓場」なのか(下)

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次のDRM問題だが、こちらも電子書籍の流通を妨げている。ただし、DRMがないと、電子書籍はコピーし放題になり、著作者も出版社も、自分たちの権利は守られないうえ、収入もなくなってしまう可能性がある。

DRM問題について説明しよう。

たとえば、アップルの「iPad」で「iBookstore」から電子書籍を買えばDRMがかかっているので、ほかの人の「iPad」では読めない。ただし、自分の「iPhone」や「Mac」のパソコンでは読める。ここまでは個人で購入したのだから当然だろう。

サービスとして致命的な欠点

だが音楽の場合は、一度CDに落とすことでDRMが解除され、ほかの機器でも再生できる。こうした仕組みが、今のところ電子書籍にはない。

電子書籍の場合、電子書籍専用端末ごとにフォーマットも違うしDRMもかかっているので、購入した端末でしか読めない。 電子書籍が「サービス」であるとしたら、これは致命的なことである。

そこで、電子書籍の場合も音楽と同じでDRMフリーにし、かつフォーマットはEPUBのような標準フォーマットに統一する。一つの端末さえ持っていれば、すべての電子書籍を閲覧でき、購入した電子書籍はどのデバイスでもいつまでも読めることにすべき、という意見がある。しかしこれは、出版社、著作者などで意見が分かれ、日本ではまとまる気配がない。

※記事初出時、「アップルの「iTunes」で購入した音楽はソニーの「ウォークマン」で聞くことができない」と記述しておりましたが、2012年2月からDRMフリーの「iTunes Plus」がスタートし、ウォークマンで聞くことが可能になっています。お詫びして訂正いたします。

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